社説

10~12月期GDP 景気下振れを警戒せよ

 2018年10~12月期の実質国内総生産(GDP)速報値は、前期比0.3%増、年率換算1.4%増となった。2四半期ぶりのプラス成長だが、7~9月期(年率2.6%減)の落ち込みは取り戻せず、力強さに欠ける。海外経済は米中貿易摩擦など不確実性が高まっており、国内景気の下振れにつながる懸念がある。警戒が必要だ。

 GDPの両輪のうち個人消費は前期比0.6%増(前期は0.2%減)、企業の設備投資は2.4%増(同2.7%減)と、それぞれ2四半期ぶりに増加に転じた。住宅投資は1.1%増(同0.5%増)。GDPへの内需の寄与度はプラス0.6ポイントとなった。

 輸出は0.9%増(同1.4%減)と改善したものの、輸入が2.7%増と大きく伸びたため、外需の寄与度はマイナス0.3ポイントだった。

 GDPの約6割を占める個人消費は確かに持ち直したが、前期に豪雨や地震など自然災害の影響で低下した水準からの回復であり、手放しで評価するわけにはいかない。設備投資も前期の大きなマイナスをカバーするには至っていない。輸出も中国など海外経済の減速で伸び悩んだ。内需、外需ともに、成長のエンジンが不在の状況と言わざるを得ない。

 GDP以外の経済指標も景気の弱さを示すものが多い。昨年12月の日銀の企業短期経済観測調査(短観)は、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)が、前回の9月調査から横ばいのプラス19となった。4四半期連続の悪化は免れたが、基調に変化はない。3カ月後の景況判断は4ポイント下落で、経営者の間には景気悪化の懸念がくすぶっている。

 政府は景気拡大期間が今年1月で74カ月に達し戦後最長になったとの暫定的な見解を示したが、これらの指標から判断すれば、日本経済は停滞感が強まっており、既に景気のピークを越えている可能性も否定できない。先行きにも数々の不安材料があり、何かのきっかけで景気が失速する事態は十分に考えられる。

 当面、心配なのは、米中貿易摩擦や中国経済の減速、英国の欧州連合(EU)離脱などリスク要因が重なっていることだ。これらが顕在化し世界経済が下降局面に入れば、日本の輸出は減少し、設備投資や個人消費にも影響が出るだろう。

 仮に米中両国が貿易協議で折り合っても、減速が鮮明になっている中国経済の前途は楽観を許さない。中国経済が失速すれば、その影響は世界に波及する。英国のEUからの「合意なき離脱」も現実味を帯び、欧州経済全体に影が差す。米国も成長が鈍化すると予想されている。

 政府は主要国と連携して米国に貿易政策の転換を働き掛けるとともに、世界の自由貿易体制を主導する役割を果たすべきだ。同時に、日銀とともに、海外発の万一の危機に迅速な対応ができる態勢をとっておかなければならない。

 企業には、最大限の賃上げともう一段の設備投資の努力を期待したい。特に重要なのは賃上げだ。景気が足踏みしている最大の原因は、内需の柱である個人消費の低迷である。企業の内部留保は過去最高に達しており、労働者に還元する余地は十分にあるはずだ。

(2019/02/15付)
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