プロ野球・阪神の中野拓夢(日大山形高出)が躍動し、輝きを放った1年だった。3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では日本代表に選出され、世界一に貢献した。二塁手に転向した阪神ではレギュラーとしてセ・リーグ優勝の力となり、さらに最終戦までもつれ込んだ日本シリーズでも着実に仕事をして、チームは38年ぶりの日本一を成し遂げた。
阪神で岡田彰布監督から全幅の信頼を得てフルイニング出場し、存在感を高めた。164安打を記録し、初の打撃タイトルとなる最多安打を獲得。ゴールデングラブ賞も受賞し、充実のシーズンを送った。
バスケットボール女子の元日本代表主将で、トヨタ自動車ヘッドコーチ(HC)の大神雄子さん=山形市出身=が、国際バスケットボール連盟(FIBA)から殿堂入りの表彰を受けた。日本人3人目の快挙。9月には県スポーツ特別賞を受けた。
山形一中を卒業し、強豪・桜花学園高(愛知)で何度も全国優勝を経験。ガードとして国内のほか米プロWNBAでもプレーした。日本代表では2004年アテネ五輪などに出場した。殿堂入り表彰後、11月にはトヨタ自動車HCとして山形市で公式戦に臨み、「凱旋(がいせん)試合」に勝利。多くのファンや関係者から古里で祝福を受けた。
2024年夏に開催されるパリ五輪の出場権を2人の県勢アスリートが獲得した。このほか、メンバー選考などが続く競技が複数あり、多くの県勢が出場を目指し奮闘している。
レスリング女子76キロ級の鏡優翔(ゆうか)(東洋大・山形市出身)は、3位以上で出場権を手にする状況で迎えた9月の世界選手権で、五輪決定に続き、見事に優勝を果たした。体幹と強烈なタックルが武器だ。ボクシング男子71キロ級では岡沢セオン(INSPA・日大山形高出)が東京五輪に続く出場を決めた。10月の杭州アジア大会準決勝で、世界選手権王者に得意のアウトボクシングで判定勝ちを収め、五輪切符を獲得した。決勝は不戦勝で、金メダルを手にした。
バレーボールのVリーグ女子で本県のプレステージ・インターナショナルアランマーレが4月、1部・2部入れ替え戦に連勝し、創部初の1部昇格を決めた。本県チームのトップリーグ参戦はパイオニアレッドウィングス(2014年廃部)以来9年ぶり。チームは10月から1部リーグで戦い、苦しみながらも確かな経験を積んでいる。
大相撲で本県ゆかりの力士が力強い取組で県民とファンを沸かせた。琴ノ若(佐渡ケ嶽親方=元関脇琴ノ若・尾花沢市出身=の長男)は7月の名古屋場所で11勝を挙げて新関脇に昇進。11月の九州場所では優勝争いをして盛り上げ、大関昇進への期待を高めた。九州場所では北の若(酒田市出身)が新入幕を果たし、幕下の白鷹山(白鷹町出身)は勝ち越して年明けの初場所での十両復帰を決めた。
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野球のU-18(18歳以下)ワールドカップで高校日本代表の武田陸玖(りく)=山形中央高=が投打の二刀流で活躍し、初の世界一に貢献した。3試合で5回1/3を投げ、自責点0。打撃は11打数4安打3打点を記録した。武田は同大会後に、プロ野球DeNAからドラフト3位指名を受けた。代表チームでは酒田光陵高野球部の加藤勇次監督がアシスタントコーチを務めた。
サッカーJ2・モンテディオ山形がリーグ5位となり、2季連続でJ1昇格を懸けたプレーオフ(PO)に進出した。POは準決勝で敗退し、昇格はならなかった。
クラブワーストの8連敗を喫し、さらにその途中で監督交代という苦しいシーズン序盤だったが、終盤にかけて巻き返した。POは4位清水に0-0で引き分け、規定により敗退した。
全国高校スキー大会が2月に山形、上山、最上の県内2市1町を会場に開かれた。地元開催は11年ぶり。県勢はアルペンを中心に八つの入賞を果たした。8月には全国高校総体のカヌー競技が西川町の月山湖カヌースプリント競技場で行われた。高校生アスリートが「雪上」と「水上」で熱い戦いを繰り広げた。
県縦断駅伝競走大会で南陽・東置賜が大会史上初となる総合11連覇を成し遂げた。南陽・東置賜は第2日こそ優勝を逃したものの、充実した戦力で安定したレース運びを見せた。県女子駅伝は、アンカーが驚異の5人抜きで一気にトップに立った北村山が、3連覇を達成した。
サッカーJ2・モンテディオ山形から今季、J1G大阪に移籍した半田陸(上山市出身)が3月、日本代表に初選出された。山形のユースで育ち2019年からトップチームでプレーした21歳。パリ五輪出場を目指すU-22(22歳以下)日本代表の主力でもあり、五輪での活躍も期待される。
ノルディックスキーのサマージャンプ大会が8月、山形市のアリオンテック蔵王シャンツェで昨年に続いて開催された。ジャンプ界のレジェンド葛西紀明(土屋ホーム)、北京冬季五輪金メダリストの小林陵侑(チームROY)、本県とゆかりのある高梨沙羅(クラレ)ら、トップジャンパーが集結した。