NIBフロントライン

エツキ社長
早坂幸起氏
早坂幸起氏
【インタビュー】
 -業界の現状を踏まえ、どのような人材を求めているのか。

 「わが社はものづくり企業。粘り強く、目標の達成に向けて真面目に取り組む県民性は自分たちの仕事にマッチすると感じる。しかし、今の時代は視野を広げて世界に目を向けなければならない。プラスアルファとして好奇心と前向きな心、素直で明るい子は将来必ず伸びる。大きな夢を持って新たなものづくりに挑戦し続ける人材を求めたい」

 -具体的な人材育成の取り組み、社員に期待することは。

 「積極的な資格取得、特に技能検定には力を入れている。外部講師を招いた社内外研修も積極的に取り入れているが、最終的には常に社外に目を向ける『他流試合』が重要だ。新規事業の立ち上げのたびに積極的に社員を顧客や得意先に派遣し、いろいろなことを教えてもらう。技能や技術だけでなく、さまざまなことを学ぶ機会は多い。逃げ場のない(言い訳のできない)環境でこそ一皮むけて帰ってくることが多い」

 -自社製の汎用(はんよう)フライス盤(小型工作機械)「2MF-V」は2010年から、技能五輪全国大会の競技用機械に採用されている。

 「この機械製造には優れた技能や技術が必要であり、大会で使用されることで企業イメージを高める効果もある。若い社員に目標を与え、社内にノウハウを蓄積させるといった観点から、今後も積極的に製造に取り組んでいく。ポテンシャルを生かし、発信力を磨けば社員は一層成長する可能性があるとみている」

 -仕事上で最も影響を受けた人物は。

 「松下電器産業(現パナソニック)の創業者・松下幸之助氏や京セラ創業者の稲盛和夫氏の著書から多くのことを学んだ。しかし、一番影響を受けたのは創業者であり父親である早坂悦男会長。昨年、創業50周年を迎え記念誌をつくり、ブランディング戦略として会社のロゴマークやユニホームを一新した。改めて創業の思いに触れることができ、大きな励みになった。最上川の船頭の極意『流されず、逆らわず』という言葉は非常に奥が深く、会社経営にも通じるものがある」

 ★早坂幸起氏(はやさか・こうき) 横浜商科大商学部卒業後、工作機械や印刷機械メーカーに4年勤務。1990年に悦機(現エツキ)に入社した。2007年から代表取締役社長。村山市教育委員を務める。村山市出身。54歳。

 ★エツキ 1967(昭和42)年に早坂製作所として創業。機械部品加工、印刷・工作機械の装置組み立てなどを手掛ける。73年に株式会社悦機として法人化。89年には本社を現在地に移転し、機械工場(テクニカルセンター)を建設。設計開発から部品加工、塗装、機械組み立て、電気調整、出荷までの一貫生産体制を確立した。91年、エツキに社名変更。2000年に汎用フライス盤の製造を開始。16年には油圧機器メーカーのアールテーアール(RTR、川崎市)を買収し、完全子会社化した。資本金は8640万円で社員数は130人。川崎市に事務所を構える。本社所在地は村山市稲下1403の1。

【私と新聞】1面から順に目を通す
 「新聞は水や空気と同じように、子どもの頃から大切なものだった。生活に欠かせないツール」と強調する早坂幸起社長。山形新聞の1面から順に目を通すことから一日が始まるという。全国紙も読み、出社後は経済紙と業界紙、帰宅してからも山形新聞と全国紙を読み返す。ありとあらゆる新聞から情報を収集しており、「同じニュースでも切り口が違い、思いがけないエピソードと出合えて面白い」とする。特に1面のコラムはどんなに忙しくても必ず読むようにしている。

 山形新聞については幅広い地域情報が得られ「地元のことを知ることは大切な要素で、仕事上、参考になる」という。社員にも情報に敏感になるよう伝えている。新聞を読むことで文章力や読解力が身に付くこともメリットだと感じている。面白い記事があるときは県外に住む娘にスマートフォンで記事を撮影して送っている。出張時には山形新聞「やまがたニュースオンライン」などのチェックは欠かさない。

【週刊経済ワード】第5世代(5G)移動通信システム
 携帯電話などに使われる通信の新規格。最高通信速度が現行の4Gの約100倍など通信性能が大幅に向上、あらゆる機器を通信でつなぐ「モノのインターネット(IoT)」をはじめ幅広い分野で活用が想定される。政府は来年3月末ごろに周波数を割り当てる予定で、新規参入する楽天を含め携帯大手が申請する見通し。
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