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新山形ホームテック社長
矢口雅彦氏
矢口雅彦氏
【インタビュー】
 -業界の現状と展望は。

 「近年の県内住宅着工件数は持ち家志向の強い県民性も手伝って微増で推移しているが、人口減に伴い、いずれ減少していくのは否めない。だが、時代の変化に対応できる若いスタッフの柔軟な思考を結集し、積極的に行動を起こしていけば、まだまだ成長可能な業種だ。空き地・空き家問題に関しては、本県は多世代同居率が高い分、その敷地や建物面積が大きく、若い世代の活用にブレーキをかけ、流通の活性化を妨げる一因にもなっている。市街地空洞化や家屋倒壊の危険を回避する上でも対策は急務。そこで当社では本年度、不動産相続の相談窓口を開設し、問題解決の一助とする。美しい街並みづくりに協力し、暮らす人に笑顔があふれるようなクオリティーの高い家を供給することで、地域社会に貢献していきたい」

 -求める人材と育てる手法は。

 「人の成長がそのまま会社の成長につながる。当社社員の平均年齢は38歳と若く、3年前から新卒採用も始めた。お客さまの喜ぶ姿を見て一緒に喜べるスタッフを育てたいし、失敗をしながらも自分の成長を楽しめるような、そして素直な性格の人材を求めている。社員の満足度の向上が成長実績の根幹だ。営業担当の半数以上は住宅販売経験が10年以上あるベテランで、店長経験者がそろっている。生きた教育ができる営業マンが多いのが当社の強みで、新人は最初の3カ月、各店を回り彼らからさまざまな営業手法を学ぶ。そして当初3年間でいろいろな体験をしてもらう。実践こそが第一で、スキルアップにつながる。客の話をよく聞き、イメージを明確にでき、タイムリーな提案ができるような社員を目指していってほしい」

 -仕事上、影響を受けた人物は。

 「会社を興す決断をした際に力を貸してくれた協力業者の皆さんだ。『ずっとあなたに付いていくよ』と励ましてくれた人もいて、前に進む勇気と厳しさを教えてもらった。チームワークを一番に考え、自由に意見を出し合う社風にもつながっている。また学校の講師時代に培った多くの生徒との交流は財産で、仕事にも生きている。彼らに変な姿は見せられない。自分で自分を常によく見て『やりたいことをはっきりさせる』『納得できないことはしない』ということを心掛けている」

 ★矢口雅彦氏(やぐち・まさひこ) 日本体育大卒。庄内、最上地域の中学・高校で講師を務め、大手ハウスメーカー、地元ゼネコン勤務を経て2000年、フランチャイズ(FC)加盟店クレバリーホーム事業に参加。新山形ホームテックを設立し、社長就任。鮭川村出身。52歳。

 ★新山形ホームテック 2009年創業。住宅、アパート、店舗などの新築工事の営業・設計・施工やリフォーム、不動産を扱う。新庄本社、山形支店、クレバリーホーム新庄店・山形東店・山形中央店・天童店・東根店があり、住宅展示場の「蔵王みはらしの丘 すくすくタウン」「東根市役所前 欅タウン」などにも出展。本年度は不動産相続相談窓口を開設し、結婚相談所事業も始める。従業員数42人。本社所在地は新庄市常葉町2の36。

【私と新聞】経済面、経営のヒント
 矢口雅彦社長は、山形新聞を主に自宅で満遍なく見るという。特に経済面は「業績好調な企業のことや新規事業のことなどを経営のヒントにしたいので、じっくり読む。最近は私募債を利用する、健全経営で元気な会社が県内に増えていることを紙面を通じて実感でき、刺激をもらっている」と語る。「山形新聞には特色のある地元企業や優良企業をもっと取り上げてもらい、山形の経済をさらに後押ししてほしい」と要望した。

 スポーツ欄も好きで「大学時代の野球部の同級生らが、指導者として甲子園に出ていることなどを知ると元気が湧く」と笑顔。「知っている人が載っているというのはうれしいものだ」と話し、身近に感じられる存在だから地方紙は大事だと強調した。まだ行ったことのない観光地を地域面で見つけ、休日に家族と出掛けるのも楽しみの一つになっている。

【週刊経済ワード】業績見通し
 上場企業が公表する経営成績の予測情報のこと。東京証券取引所は投資家保護の観点から、売上高や純利益が当初の予想から大きく変わることが分かった場合は直ちに開示するよう義務付けている。直近に公表した業績見通しの数値を上回れば上方修正、下回れば下方修正と呼ばれる。業績修正は株価の変動要因にもなる。
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