第3部・連携実施の先駆け(3) 置賜・(下)加速する人口減~明日につなぐ地域医療|山形新聞

明日につなぐ地域医療

第3部・連携実施の先駆け(3) 置賜・(下)加速する人口減

2022/2/1 15:11

 米沢市で4割減、それ以外の置賜地域で5割減―。今からおよそ20年後の2045年。75歳未満の人口はここまで落ち込むというデータがある。75歳以上でさえ、米沢では若干増えるものの、それ以外の地域では1割減と減少に転じる。

 高齢者の割合が多くなると、救急や手術など急性期の需要は減り、複数の慢性疾患に対応するニーズが高まる。置賜は三つの自治体病院を再編した公立置賜総合病院、米沢市立と三友堂両病院の連携に加え、個々の病院も病床の転換や削減に踏み切り、県内では比較的役割分担が進んできた。それでも、将来を見据えたさらなる再編・連携が求められるのは明白な状況だ。

 さらに、山形大大学院医学系研究科の村上正泰教授(47)が、県内の病院の協力を得てまとめた患者動向(19年)によると、置賜では、何週間後かに手術するなど「予定入院」する患者のおよそ4分の1が山形市など地域外の病院を選択している。

 こうした状況を踏まえ、村上教授は「人口減少を考えれば、重症患者に対応する置賜の基幹病院は一つが理想的」とする。ただ、現実的には建て替えのタイミングや自治体の合意形成などがハードルとなり、そううまく進まない。「答えは一つではない。現状を前提に、地域全体で改めて役割分担を検討していくべきだ。病院運営には中長期的ビジョンが必要で、10年後に検討するのでは遅いのではないか」と指摘する。

 人口減少の影響を最も色濃く受けるのが小国町立病院だ。昨年12月、仁科洋一町長(70)は、24時間体制で患者を受け入れる「救急告示病院」を取り下げる方針を表明した。対応するだけの看護師の確保が難しくなっていることが理由だ。

 経営面も苦しさは増す。昨年度の病院会計は約1300万円の赤字で、一般会計からの繰入額は過去最大の4億2千万円に上った。「5、10年後に病院自体を存続するため問題を先送りしない」が町の方針。診療科の休診や病床削減など、厳しい決断が続く。

 地域包括ケアの理念を先取りし、健康管理センター、介護老人保健施設と一体化した町立病院を開院したのは公立置賜総合病院と同じ2000年。20年で町の人口は3分の2に減り、医療スタッフの確保も困難になった。開院時とは見える風景が違ってきた。

 構成団体に加わっていないものの、特に公立置賜総合との連携は欠かせなくなっている。「手術は置賜総合で、回復したら小国に」という流れができつつあり、置賜総合からの医師派遣も増えた。舟山重浩事務長(57)は「将来的には何らかの地域医療連携推進法人の中に入ることや置賜総合病院の構成団体の一員になる選択肢も排除できないと思う」と展望する。

 その公立置賜総合とサテライト施設を運営する置賜広域病院企業団の構成自治体からも「今のままでは支えきれない」と将来の病院運営に対する不安の声が上がる。内谷重治長井市長(66)は市の負担が増えているとし「今後、基幹病院の建て替え費用も発生するだろう。サテライトの改築も自前で行い、人口減、高齢化で財政が厳しくなる中、とても(増大していく費用を)負担できない」と吐露。「県がリーダーシップをとり、置賜3市5町で新たな枠組みをつくるべきではないか」と提案する。

 新たな枠組みの必要性に言及する関係者は少なくない。それでも「相手がいること。なかなか踏み込めない」「自治体が多くなるほど調整が難しい」―。病院建て替えのタイミングや、首長選など政治とも絡む問題だけに、俎上(そじょう)に載せる難しさに苦悩する言葉が口をつく。

 「病院の再編、役割分担はエリアが広がるほど大変になり、様子見をしてしまう傾向がある。地域の中で旗振り役が必要だ」と山形大大学院の村上正泰教授。「人口が減る中、身近にある病院を今のまま残すのは不可能で、方向性を示さないまま診療機能が落ちていけば結局困るのは住民。その点を自治体の首長、住民も理解していく必要がある」と強調する。置賜の医療のあり方について、県を含めた地域全体で再検討すべき時期は既に到来しているのではないだろうか。

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