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アート×科学に夢中! 鶴岡・キッズドームソライのワークショップをのぞく

2022年6月7日掲載

 鶴岡市北京田の児童遊戯施設・キッズドームソライは教育理念に、子どもたち自身がそれぞれの価値基準を持ち、自らの幸せや存在意義を定義できる「ジブン」を育むことを掲げている。子どもたちに夢中になれる体験を見つけてもらおうと、さまざまなワークショップを積極的に開催している。5月に開かれたワークショップを取材し、子どもたちが楽しんで学べるポイントを探った。

おきあがりこぼし―重力学び、ころんと

子どもたちは花や顔を付けるなどして、オリジナルの作品を作った
子どもたちは花や顔を付けるなどして、オリジナルの作品を作った

 「『おきあがりこぼし』は倒れてもすぐに起き上がる人形のことです」。最初にスタッフが仕組みや簡単な作り方の例をイラストで説明していました。「元の位置に戻るのは人形の中にある重りが関係していて、『重力』が働いているよ」「テープの芯やカプセルなど丸い物を準備して、1カ所に重りを固定させると出来上がります」などと話していました。

 仕組みや簡単な作り方の例をイラストで説明していました。「元の位置に戻るのは人形の中にある重りが関係していて、『重力』が働いているよ」「テープの芯やカプセルなど丸い物を準備して、1カ所に重りを固定させると出来上がります」などと話していました。

 仕組みを理解した子どもたちは早速、制作スタート。テープの芯を二つそろえて強度を高めたり、カプセルに目玉を付けてデザインしたりしていました。オリジナルの作品を完成させると、転がして楽しんでいました。

ウォールアート―白い紙をキャンバスに

スポンジなどソライにある素材を使って、壁に絵の具を塗る
スポンジなどソライにある素材を使って、壁に絵の具を塗る

 館内の壁に、縦90センチ、横3.6メートルの真っ白い紙が張ってあります。今回は子どもたちが協力して紙一面に色を付け、ウォールアートを完成させるワークショップです。

 用意したのは11種の水性絵の具と円筒型のスポンジ、段ボール、卵の容器、気泡緩衝材の「プチプチ」。子どもたちはパレットに絵の具を出して、素材をスタンプのように使って描いていきます。混ぜ合わせた色できれいな花や、オリジナルのキャラクターを描くなどして楽しんでいました。中には手に絵の具を付けて手形を残す子もいました。

 30分ほどで紙いっぱいのアートが完成。みんなで作った達成感を味わっていました。作品はソライの廊下に一定期間展示しています。

ミニ熱気球―素材選択、浮かぶかな

スタッフから空気の性質と熱気球の仕組みについて学ぶ子どもたち
スタッフから空気の性質と熱気球の仕組みについて学ぶ子どもたち

 熱の力で浮かぶ気球の特徴を知るワークショップでは、子どもたちが実際にミニ気球作りを体験しました。

 子どもたちは、空気は暖められると上空に上がるという説明を聞き、熱気球はこの性質を利用して浮かび上がることを学びました。その後チームに分かれて、気球作りを開始。気球の膨らむ部分に使うビニール袋の大きさ、人形をつるす針金、糸の太さを班ごとに話し合って選びました。

 「ビニール袋と糸はできるだけ軽いものの方がいいんじゃないか」「気球みたいに空気の入り口を狭くしたら」などと協力して素材を選択。テープで袋と糸を貼り付けて、浮かび上がるか実験しました。浮かばなかった班は、素材を変えて再挑戦。無事飛ぶと歓声が上がり、はしゃいでいました。

【渡辺敦館長】失敗、社会性を鍛える
キッズドームソライの渡辺敦館長
キッズドームソライの渡辺敦館長

 同館でのワークショップは金~日曜に開かれ、年間約100回を超えている。スタッフが考案して開催するもののほかに、子どもたちがやってみたいという提案も実現してきた。同館の渡辺敦館長(47)は「夢中になった子どもたちはすごい力を持っている。変化の激しい社会で生きていくためには、主体性を持ち、予測できないことにも対応できる力が必要」と話す。

 ワークショップは、サイエンスとアートがテーマ。目的に向かって子どもたちが挑戦する中に、発想の余地、試行錯誤してもらう場面を設けている。渡辺館長は「大人がしつらえた成功ルートだけを体験させるのではなく、あえて失敗の可能性も盛り込みたい。克服するために考える柔軟性、社会性もそこで鍛えられる」と強調する。

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