昔とんとあったけど。あっどさ2軒の家あっけど。東の家は金持づで、大っけくて立派な家だげども、ほごの家の爺さま、(※)ねずっぴで欲ばりだけど。西の家ぁ貧乏で小っちゃこえ家だげども、ほごの家の爺さまぁ、正直で情深え人だけど。
あっどきなぁ、今日みだえひどえ吹雪の夜だけど。どごの娘だが、(※)はでやらで道分がんなぐなて困てえだけど。ほんで、やっと明がり見つけで、ほごの家さ行って「どうが今晩泊めでくださえ」て頼んだけど。ほんでも、ほごは東の家で、爺さま「(※)こがえた娘泊めだて一文もならね」ど思て「駄目だ駄目だ。泊めらんなえ」て言って、追え出したけど。
ほんで、娘西の家さ行って「泊めでくださえ」て頼んだれば、爺さま「なんぼが寒がったべ。早ぐ上がて囲炉裏さあだれ」て言って、飯一ぱえ食しぇで、温かえ布団さ寝しぇでくっだけど。
次の朝間、娘いずまで経っても起ぎでこねさげ、爺さま心配して娘んどさ行ってみだけど。ほうしたれば、娘居ねくて、布団の中さ小判1枚ぴかぴか光てえだけど。
ほれぁなぁ、娘ぁ本当ぁ神様で、一晩泊めでもらたお礼に爺さまさくっで行ったんだけど。とんぴすかんこなえけど。