昔、昔、あったけど。
大石田のある部落に昔がら旦那様の家が、(※)うがぐあったけど。
ほんで、お蔵破らっだり、宝物盗まっだりするごど、ちょいちょいあったけど。
ある旦那様が、自分でお蔵番してでも、何があっど困るど思って、剣術の達人ば雇って、蔵ば守ってもらえば盗まんなえど思って、町さ行って剣術の達人を探して、用心棒さ雇ってきたけど。
達人の頭は、和尚様のように髪を剃り、やがんの形どそっくりだけど。
旦那様「今夜あだり、おら家の蔵狙われっかもすんね。よぐよぐ頼むさげな」ど言ったど。
やっぱりその夜、泥棒きたけど。
「おれ、中さ入って、窓がら外さ出す。お前、窓下で受げどれや」
蔵の中にいだ用心棒は、外で何やら話し声がする。これはど思って窓がらひょいと頭を出したけど。
窓下にえだ泥棒が、「なえだ、やがんからだが」ど言ったけど。
とたんに、やがんが落っできた。窓下の泥棒は、ひょいと、やがんを受げだら、これぁ剣術の達人で、泥棒がおさえらっだけど。
用心棒は入口の戸を閉め、外がら鍵をかげ、窓の戸も外がら閉めで鍵かげで、3日後に開げでみだれば、蔵さ入った泥棒は「腹へってどうにもならね。助でけろ」ど言ったけど。ドンビン