昔、あったけど。昔、(※)大沢さ爺さまど婆さまえだけど。あっどぎ、爺さま「お盆きたさげ、酒田さ行って仏様さ上げるもの買ってくる」て言って行ったけど。ほうすっど、途中さ大っけ沼あって、その道の真ん中さ松の木みだえ太とえ大蛇昼寝しったけど。
ほんで、爺さまたまげで、「俺呑まれっかも知んなえ」て思て、道の端っぽどご行ったども、大蛇あんまり太とえもんださげ、(※)足しかがたけど。ほうすっど、大蛇(※)ごしゃえで「呑んですまう」て真っ赤な口開げで、かがてきたけど。
爺さま、(※)どでして「えや、えや、俺悪がった。ほんでも俺どご呑むなぁ、少す待ってけろ。俺、酒田さ行って買物して、ほれば婆さまさ届げだら、(※)そんま来っさげ、ほれまで待ってけろ」て言うずど、大蛇ぁ「んだが。んだら待ってから必ず来えな」て言ったけど。
爺さま「はえ」て言って、酒田さ行って、魚どが昆布どがいっぱえ買って来て、婆さまさやったけど。ほうして「婆さま、婆さま。俺大蛇んどごさ行がねんね。約束だがら」て言うずど、婆さま「(※)ほがえた馬鹿なごどなえ。俺行って、大蛇さ『爺どご呑むな』て言ってける」て行ったけど。
ほして、婆さま「大蛇、大蛇。道の真ん中さ寝でるなて、お前一番悪え。ほんでも呑むて言うごんたら俺どごがら呑め」て言ったけど。ほうすっど、大蛇「んだなぁ。俺悪がった。んだら俺呑まねさげ、2人仲良ぐ暮らしぇなぁ」て言って、宝物いっぱえくっで、にょろにょろて沼ん中さ入て行ったけどぁ。とんびすかんこなえけど。