むがす、とんとあったけど。あっどさ
五郎吉という一人者えだけど。
五郎吉ぁ
一生懸命働ぐげども貧乏で貧乏で、誰も嫁くる人えねけど。ほんでも
五郎吉ぁ、
(※)んぼご(※)ほすだえと思て、
(※)清水の観音様さ「んぼご授げでけろ」て、
(※)願かげ行ったけど。
ほうして三七、21日間願かげだれば観音様出できて、「お前ぁ感心な息子だ。んぼご授げるごどでぎねげども、ほの代わり宝物くっでやる」て言って、ぴかぴか光る金の玉3つくっだけど。「この玉何だべ」て、五郎吉聞えだれば、観音様ぁ「この玉ぁ、1づ呑むど年21若ぐなる。困ったどきぁこの玉呑め。ほうすっど、何人でもんぼごでぎる」て言うけど。
五郎吉ぁ喜んで家さ帰てきたけど。ほうすっど、殿様がら手紙きて、「ほの玉持てこえ」て言うなだけど。ほんで、五郎吉お城さ行ったれば、殿様「俺さ1づけろ」て言って1づ取ってすまたけど。ほんで、五郎吉ぁ残りの玉取られっど悪ど思て、2つ一緒へぺろっと呑んでやったけど。
ほうすっど、五郎吉の年さっぱりなぐなてすまて、奥方様の膝かぶの間さころころ転がて行って、腹ん中に入て行ったけど。ほんで、(※)そんまんぼごなて「おぎゃぁおぎゃぁ」て生まできたけど。殿様ぁ喜んで、「めんごえ、めんごえ」て言って大事え育でだけど。ほんで、五郎吉ぁ一生楽々ど暮らしたけど。とんびすかんこなえけど。