むがしあったけど。おっかぁが病んで「おら、行げざんざんの梨食だい」て言うずも。太郎は「ほんでは、おらが行ってくっから」て、出がげだんだど。
途中で白髭の爺さまさ出会ったど。「この道さ、大けな牛寝でっから、ダンと踏んでみろ。牛が目さまして、道を開げだら行ったらええ」
いだいだ、大きな牛だ。ダンと踏んでも平気で寝でだども、おっかぁのごど考えで、行ったど。したら、また白髭の爺さまがいで、「滝があっけども、行げざんざんと言うたら行げばええし、行ぐなざんざんて流っでだら行ぐな」
それでも行ったら、山姥が出できて、
(※)ゆんべの茶の子、見いつけた
て、げろっと呑まっでしまったど。
太郎が帰って来ねもんだがら、次郎が行ったら、太郎と同じに山姥からげろって呑まっでしまったんだど。そごで三郎が行ぐごどになったど。
やっぱり大けな牛の前で、ダンと踏むど、牛はゆっくり林の中さ入って行ったど。また行ぐと、白髭の爺さまが、「あぶないど思ったら、これを抜げばええ」て、刀をけだど。
「(※)おしょうしな」て腰にさし、滝まで行ぐど、「行げざんざん」ど流っでだがら、滝を渡っど、梨の木があって、山梨をとったら、山姥がやってきたがら、えっと腹をぶっざいだら、中さ太郎も次郎もいだけど。この梨でおっかぁも病がらよぐなったど。とうびんと。