昔、櫛引の(※)三千刈ていう村さ、でっけ藤の木あったけど。今は根っこばっかり残っているども、そごさ伝わっている話。
昔ある時、庄内の殿様ど最上の殿様が会った時、自分の方さどれほど大きものあるが、自慢くらべ始めだけど。ながなが勝負つがねけどや。
そのうぢ、最上の殿様いばって「おれ方さでっけ大杉あって、雨降った時は木の下さ百人も雨やどりできるほどの大杉だ」て言ったば、庄内の殿様、しばらく考えでから「やあや、こっちさはもっと大き木あるぞ。三千刈の村さある藤の木は、枝どごまでも広がって、三千刈の村と(※)田もどみなかぶるほどの大きさだぞ」て言ったば、最上の殿様たまげてしまって、なんにも言わなぐなって、庄内の殿様勝ってしまったけどや。
トンピンカラリネッケド。