(※)まいどのごどだったど。井の中の蛙どいうて、山さ登って、隣の町ば見だいもんだど思ったど。そんで、置賜の蛙は山形の町ば眺めでみんべと、山さ登っていったど。
村山の蛙も「米沢どいうどごは『学問がさがんな上に、横と縦の道がきちんとしていで、町並みが(※)しゃきんとしてる』ど聞いでる。ぜひ一度山の上がら見でみだい」て思って、登っていったど。
ぴこたらぴこたら山道ば登って、やっと山の上さ行ってみだば、そごでばったり置賜の蛙ど村山の蛙が出会ったんだど。
「おい、おい、手ど手を合わせで、ひょいと立ぢ上がれば、遠ぐの方まで見えんべ」ていうもんで、「そいづぁええ考えだ」て、掌ど掌を合わせで、よいしょて立ぢ上がったんだど。
したら、見えだのは、置賜の蛙には米沢の町、村山の蛙には、山形の町がそのまんま見えだんだど。それもそうだ。蛙の目玉ざぁ、背中についでるもんで、置賜の蛙にゃ米沢、村山の蛙にゃ山形が見えだんだど。
「なんだ、どごさ行っても同じ町だな」て、がっかりして戻っていったど。どんびんさんすけ