むがす、とんとあったけど。
むがすあっどさ、(※)ねずっぴな和尚様えだけど。ねずっぴでねずっぴで、法事さ行って餅などもらてきても、戸棚さ隠しておえで、小僧さ食しぇねで(※)わあばり食ってえだけど。
小僧ぁ、悔すくて悔すくて、「何じょがして餅食だえもんだ」て思てえだけど。
あっどき小僧、和尚様さ言ったけど。「和尚様、今度俺名前変えるごどした。俺どご呼ばっどぎぁ『とんとんふうふう』て呼ばてけろ」て言ったけど。和尚様ぁ「何だべ」て思たげども「よす、よす」て言ったけど。
次の晩、和尚様「小僧寝だべなぁ」て思て、戸棚がら餅出して、火鉢であぶったけど。ほのうづ、餅「ぷー」てふぐっできたけど。和尚様喜んで、餅「とんとん」て叩えで「熱え熱え」て「ふうふう」吹えで、口大っけぐあげて食うべど思たけど。
ほんどぎ、小僧「はえ、はえ。和尚様何だべ」と入てきたけど。ほして「和尚様、和尚様、ほれ餅あぶっできた、あぶっできた」て言って、餅(※)みながら取ってわあばり食ってすまたけどぁ。
んださげ、あんまりねずっぴさんなえもんだど。とんびすかんこなえけど。