昔、とんとあったけど。あっどごの山ん中さ、2軒家あったけど。ほごさ兄ど弟えで、毎日狩人して暮らしったけど。あっどぎ、兄の家さ、「どんどん」て戸叩えで、「どうが今晩1晩泊めでけろ。俺、んぼこ生まれっどごださげ泊めでけろ」て言って若え女入て来たけど。外ぁびゅうびゅう吹雪だけど。ほうすっど、兄ぁ「だめだ、だめだ。(※)女ぁ山さ入て悪えなだ。山ん中で(※)んぼこなすなて、絶対だめだ。山の神の罸当だる。早ぐ出で行げ」て、(※)ぼっ返したけど。
ほんで、若え女、弟の家さ行って「どうが今晩1晩泊めでけろ。俺、んぼこ生まれっどごださげ」て言ったけど。弟ぁ「ほれぁ大変だ、大変だ。早ぐ上がて火さ当だれ」と言って、囲炉裏さ当だらしぇだけど。
ほんで、若え女、めんごえんぼこ次々ど12人も生んだけど。ほして「あれ、あれ」て言ってえるうず、女、んぼこどご1人ずつ「ぽんぽん」て空さ(※)ぶってやたけど。んぼこぁ、一人一人雪になて降ってきたけど。ほうすっど、女ぁ、「俺ぁ山の神だ。助けでくっだお礼にお前さ山のもの何でもくっでやる」て言って、「ぶーん」て出で行ったけどぁ。
ほれがらは、弟、山さ行ぐどウサギどが熊どがいっぱえ捕ったげども、兄ぁウサギ1匹捕んなえけど。ほんで、弟ぁだんだえ金持づなて幸しぇに暮らしたけど。兄ぁだんだえ貧乏なて、とうどう小ちゃこえネズミにさっですまたけどぁ。んださげ、困ってえだどぎぁ助けでやらんなねもんだど。とんびすかんこなえけど。