ついに栄冠、北村山万感 県女子駅伝

2021/11/22 10:00
北村山の2区本間未来(カーブスMORI東根、左)がトップで3区矢ノ目千桜(葉山中)にたすきをつなぐ=第2中継所

 県内11チームが上山市本庄地区公民館前をスタート、山形市の山形メディアタワー前をゴールとする計5区間20.5キロで争うヤマザワカップ第37回県女子駅伝競走大会(山形新聞、山形放送、山形陸上競技協会主催)は21日にレースを行い、北村山が33大会ぶり2度目の優勝を果たした。

 北村山は2区の本間未来(カーブスMORI東根)で独走態勢を築き、そのままゴールを駆け抜けた。3大会ぶりの優勝を狙った山形は序盤で波に乗れず2大会連続の準優勝。3位の天童・東村山はアンカーの高橋穂乃香(東海大山形高)が順位を三つ押し上げた。4位の酒田・飽海は2区のベテラン今野まどか(酒田市陸協)の快走が光った。3連覇を目指した南陽・東置賜は5位に終わり、6位は鶴岡・田川だった。

 【評】北村山の安定感が際立った。5区間で獲得した区間賞はゼロながらも、大崩れすることのない盤石なレース運びで独走。二枚看板を1、2区に投入する前半勝負の編成で勢いに乗った。山形は終盤で追い上げを見せたが、序盤に流れを引き寄せられなかったことが最後まで響いた。天童・東村山は後半で中高生の快走が光った。

【ハイライト】エース「有言実行」の激走、後輩も続いた

 第2中継所の直前。薄緑色のたすきを握った右拳を高々と掲げたエースには笑みが絶えなかった。北村山の2区本間未来(カーブスMORI東根)だ。「私がトップでつなげば優勝できる。そう信じてきた」。有言実行の活躍で33大会ぶりとなる栄冠を手繰り寄せた勝利の立役者。表情には万感の思いがにじんだ。

 各チームの主軸が顔をそろえる1区で、成長著しい森谷乙葉(山形城北高)がトップと3秒差の2位。「想定の範囲内」という差でたすきを受け取った本間はすぐさま先頭を捉えると、コースの起伏も苦にせず快調にピッチを刻んで独走態勢を築いた。「しっかりと自分のペースで走ることができた」と言うように、沿道の応援に笑顔を見せる余裕もあった。

 エースの勇姿に後輩たちも奮い立った。レース前に「トップで(たすきを)つなぐから」と声を掛けられた3区矢ノ目千桜(葉山中)は「言った通りだったので、すごくやる気が出た」。ライバルを引き離すと、アンカー伊藤芽衣(酒田南高)も「不安だったけど、十分すぎる『貯金』をつくってくれたので自分の走りができた」と栄光のゴールへと駆け込んだ。

 山形城北高で活躍し、新潟県の実業団チームにも所属した本間。帰郷後は市民ランナーの立場で活動し、練習を共にする中高生に優しく叱咤(しった)激励。走ることの楽しさを「背中」で語る26歳は後輩たちにとって憧れの存在だ。「彼女がいたから優勝までたどり着くことができた」と高橋卓美監督の信頼も厚い。

 ゴール後、チームメートに囲まれた本間の目には涙があふれた。優勝のうれし涙と思いきや「区間賞を取れなかったことが悔しい」。のぞかせた負けん気は後輩のやる気も刺激した。「次こそもっとスピードを付けて活躍したい」と意欲を語る4区広田菜々美(神町中)をはじめ、メンバーは次回を見据えて課題を口にする。「このチームはもっと強くなれる」。エースの言葉には連覇への手応えもにじんだ。

山形の4区栗原優奈(山形十中、右)から2位でたすきを受けるアンカーの森伽音(東海大山形高)=第4中継所

【焦点】山形2位、序盤に失速

 序盤の失速が痛手だった。優勝争いの中心になるとみられていた山形は独走する北村山に迫ることができず、前回大会に続いての2位に終わった。序盤で勢いに乗りたかったが、鈴木泰子監督は「思い通りにはいかなかった。それでも4区、5区でタイムを縮めてくれた」と評価した。

 東海大山形高と山形十中の実力のある中高生がそろったが、序盤から先頭を追う苦しい展開となった。1区星美月(東海大山形高)は「先頭に付いていき、スパートしようと思っていたが、1区の自分の段階で10秒以上の差となってしまった」と悔やんだ。

 挽回の走りを見せたのが4区の栗原優奈(山形十中)。1分以上あった差を42秒差まで縮めた。栗原に感化されるようにアンカーの森伽音(東海大山形高)も「たすきを受けた時、先頭の姿が見えていたので、詰めていこうと思った」。懸命に追い上げ、さらに差を縮めたが、北村山の背中は遠かった。

 鈴木監督は「東日本女子駅伝の疲れもある中、チームをまとめ頑張ってくれた」と森をねぎらい、「来年につながるレースだった。残る選手もいるので、また切磋琢磨(せっさたくま)していきたい」と総括した。

3位でゴールする天童・東村山のアンカー高橋穂乃香(東海大山形高)=山形市・山形メディアタワー前

【スポット】天童・東村山3位、アンカー快走

 天童・東村山はアンカー高橋穂乃香(東海大山形高)の快走で、目標の3位に躍り出た。後半を勝負の鍵とにらんでいた矢ノ目芳実監督は「予想通りのレース展開で波に乗れた。特に高橋の走りは想像以上の出来だった」と目を細めていた。

 6位でたすきを受けた高橋は、区間賞の走りで3人をごぼう抜きしてゴールに飛び込んだ。「体が軽く、いつも以上にスピードが出た」と、初出場ながら5区の選手の中で唯一18分台をたたき出した。「笑顔でフィニッシュするのが目標だった」というゴールの瞬間、苦しさを忘れ笑みがこぼれた。

 チームは若手の活躍で5大会ぶりのトップ3に食い込んだ。中学生区間でも柏倉四季(中山中)と本間香(天童一中)が区間賞の走りで上位入りに貢献。来年は高校生になり、チーム内の競争は激化する。矢ノ目監督は「メンバーが力を付けてきた。来年こそは優勝したい」と手応えを語った。

酒田・飽海の2区今野まどか(酒田市陸協)がたすきを受け取って走り出す=第1中継所

酒田・飽海、粘りの4位

 ○…33歳で2区の区間賞を獲得したベテランの今野まどか(酒田市陸協)が安定した走りを見せ、酒田・飽海は4位に踏みとどまった。

 6位でたすきを受け取った今野は「第1中継所はだんご状態のことが多いので、1人ずつ追い抜いていこうと思った」と、冷静なレース運びを繰り広げた。左膝のけがで、本格的に練習を始めたのは9月になってから。「もう少し練習ができれば、という気持ちが強かった。来年はけがに注意しながら、他の選手と一緒にレベルアップしていきたい」と話した。

 住石智也監督は、今野の走りに加え「中学生の粘りのレースも見ることができた。収穫のある大会だった」と振り返った。

若い力、南陽・東置賜5位

 ○…3連覇には届かなかった南陽・東置賜だが、中学生の踏ん張りが光り5位でフィニッシュした。3区大浦陽奈乃(高畠中)と4区荒木結心(川西中)がともに区間2位の快走。エース不在の苦境でも若い力で走り抜いた。

 レースは1区渡部莉奈(山形城北高)が区間賞の走りを見せたが、2区で失速。大浦には7位でたすきが渡った。6位の新庄・最上とは44秒差あったが「一つでも上を」と焦らずピッチを刻んだ。6位でつなぐと、4区荒木で4位に浮上。波に乗った。

 チームはジュニア世代の育成に力を入れてきた。エース安部日和(城西国際大)が欠場する中でも、小学生の時から練習してきた若手が力を示した。小野正晃監督は「出し切った。底力がついている証拠だ」と手応えを語った。

鶴岡・田川、目標の6位

 ○…粘った鶴岡・田川が目標としていた6位に食い込んだ。斎藤貴志監督は「序盤に先頭から大きく離されず、集団に残ったことが良かった」と選手をたたえた。

 1区の須貝美齢(山形大)が先頭集団との差を想定内にとどめ、7位でたすきをリレー。中学生区間では一時4位に浮上するなど、続く仲間も大崩れすることなく、入賞圏に滑り込んだ。

 準優勝した第33回大会をはじめ、鶴岡南高時代からチームをけん引してきた須貝は「今年がラストラン」と覚悟を決めていた。充実の表情を見せた後、「これからもっとチームを盛り上げてほしい」と仲間に思いを託した。

プラン通り、成長の証し

 高橋卓美・北村山監督の話 先行逃げ切りのオーダーで臨み、プラン通りのレースだった。優勝は選手が成長している証しであり、それぞれが役割を果たした結果だ。エースの本間を中心にまとまりがあり、このチームはまだまだ強くなれる。連覇に挑みながら、本県を代表する選手を育てていきたい。

【長期出場者表彰】

 ▽監督 沢田賢一(米沢)=5回▽マネジャー 増子博幸(南陽・東置賜)=10回、菅原翼(酒田・飽海)=5回▽選手 鈴木ひろか(上山)渡会紫野(鶴岡・田川)=5回

県女子駅伝

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