南陽・東置賜、貫禄の逆転劇 県縦断駅伝・第2日

2022/4/29 08:00

 第66回県縦断駅伝競走大会(山形新聞、山形放送、山形陸上競技協会など主催)は第2日の28日、新庄―長井間の10区間、112.2キロでレースを行い、終盤の20区で逆転した南陽・東置賜が5時間56分26秒で頂点に立った。

 首位争いを繰り広げた寒河江・西村山が2分24秒差で2位に入り、初日9位と出遅れた山形が3位。天童・東村山が4位となり、初日優勝の酒田・飽海は5位だった。6位以下は長井・西置賜、鶴岡・田川、上山、北村山、新庄・最上、米沢となった。

 第1日と合わせた総合成績は1位が南陽・東置賜、2位が天童・東村山で、その差は7分50秒。8秒差の3位に寒河江・西村山が付けている。以下は酒田・飽海、上山、山形、鶴岡・田川、北村山、新庄・最上、長井・西置賜、米沢。

 【評】地力に勝る南陽・東置賜の貫禄勝ち。戦力を序盤に集中させるチームが多い中、実業団勢と実力者の社会人をバランス良く配置して勝負どころをものにした。前半は高校生区間の15区で苦戦したものの、トップをうかがう位置でつなぎ、主力を並べた後半で巻き返して大勢を決めた。寒河江・西村山は三つの区間賞を奪って中盤までレースをリードしたが、終盤に力尽きた。山形は首位争いに絡んだ序盤の勢いが生きた。初日優勝の酒田・飽海は要所で流れに乗れなかった。

南陽・東置賜の18区伊藤翼(左、高畠町役場)が2位に順位を押し上げて19区の大倉秀太(NDソフト)にたすきをつなぐ=大江中継所

【いだてん】流れを変えた18区、勢いそのまま

 残り4区間45.0キロで4分48秒差。たすきが南陽・東置賜の18区(寒河江―大江)伊藤翼(高畠町役場)に渡った時、トップの寒河江・西村山との差は予想以上に広がっていた。それでも焦りはなかった。あくまで目標は総合優勝。「少しでもタイムを詰めよう」と出だしから快足を飛ばして順位を二つ上げ、逆転劇の足掛かりをつくった。

 主要区間を走る予定だったが、右足のけがから復帰したばかりのためつなぎの区間を担った。攻めの走りに徹し、2キロ付近で長井・西置賜を抜き去ると、残り1キロで2位を走る山形の背中を捉えた。きつかったというが「山形が疲れてるぞ」というチームスタッフの言葉に「元気が出た」と伊藤。苦手の上り坂で力を振り絞ってもう一つ順位を上げると、チームに勢いが生まれた。

 ここからは王者の貫禄と言ったところか。勢いそのままに20区(朝日―白鷹)の光武洋(NDソフト)が寒河江・西村山をかわしてトップに立つと、最終21区(白鷹―長井)でリードを広げて2位に2分24秒差をつけてゴール。総合優勝を大きく近づける勝利に小野正晃監督は「伊藤に任せて間違いなかった」とうなずいた。

 「社会人になって初めて1年間続けて練習してきた」と伊藤。中央学院大を卒業後は思うように練習を積めず「大学時代の走りとあまりにかけ離れてしまった」とモチベーションが上がらなかった理由を打ち明ける。やる気に火を付けたのは、仲が良い米沢の選手との自主練習。走る楽しさを思い出し、大一番の起爆剤となる活躍を見せた。

 前人未到の総合10連覇に王手をかけ、小野監督は「意識はしないようにしているが、達成できたなら最高の結果。精いっぱい力を発揮してほしい」と意気込んだ。

苦しい展開でも勝ち取れた

 南陽・東置賜 小野正晃監督 寒河江・西村山が強いので、良くて2位だと思っていた。4分以上のタイム差を追い掛ける苦しい展開だったが、選手の頑張りで勝ち取ることができた。3日目も10連覇は意識せず、全力を発揮したい。

3位でたすきを受け取った寒河江・西村山の13区荒井雄哉(山形環境エンジニアリング)がトップに立つ=尾花沢市

【ハイライト】強さ本物、寒河江・西村山2位

 前回大会に続く第2日の優勝を狙い、主力をそろえた寒河江・西村山。最後は南陽・東置賜に屈したものの、地元入りした中盤まで首位を守り、沿道を沸かせた。選手からは悔しがる言葉が口をついた。王者を負かす手応えが確かにあったからだ。

 昨年の第2日を走った選手7人を起用し、途中までは志田学監督のレースプラン通り。13区(舟形―尾花沢)でエース荒井雄哉(山形環境エンジニアリング)が区間賞で先頭に立つ。15区(村山―東根)の菊地道登(東海大山形高)や16区(東根―天童)の星川裕貴(山形ミートランド)らが勢いを持続。17区(天童―寒河江)を走った主将杉沼聖平(スガタ商事)は同区間の南陽・東置賜の実業団選手を意識して奮起。自身の区間記録を更新してみせた。

 「自分が序盤にもっと差を広げられた」(荒井)「悔しさがある」(杉沼)。近年の戦力の充実を実感しているからこそ、力を示しただけでは満足できない。狙った第2日の優勝は果たせなかったが、もう一つの目標は1988(昭和63)年の第34回大会以来となる総合3位以内。チームは気持ちを切り替え、勝負の最終日に挑む。

たすきを受け取って走り出す山形の13区川口航士郎(手前、きらやか銀行)=舟形中継所

【ナイスラン】来た来た山形、一丸3位

 初日で9位に沈んだ山形が息を吹き返した。序盤で一気に流れをつかみ、14区(尾花沢―村山)で首位に浮上。見せ場をつくった3位の結果で、レース後にようやく笑顔が広がった。

 戦力は充実し、59年ぶりの総合優勝さえ見えていたが、前日は苦しい走りが続いた。一部区間は負傷のため、途中棄権も覚悟した。心身ともにダメージは大きかったに違いない。第2日の出だしが巻き返しのポイントだった。

 「流れをつくりたかった」と12区(新庄―舟形)に臨んだ長沢遼(東海大山形高)から3区間で前に出た。川口航士郎(きらやか銀行)が「打開する」と寒河江・西村山を追走。森谷修平(山形市役所)がエースの存在感を示し、トップに立った。

 ペースダウンを最小限に食い止め、総合順位は6位まで上げた。川口は「ゴールは(地元の)山形。最後に笑って終わりたい」と、チームの思いを伝えた。

天童・東村山、充実4位

天童・東村山の20区遠田将人(右、天童市役所)がたすきを受けて駆け出す=朝日中継所

 ○…4位の天童・東村山は起伏の激しい20区(朝日―白鷹)でベテラン遠田将人(天童市役所)が奮闘。区間2位の力走を見せ、「後半はリズムを崩さずに走った」と充実感をにじませた。

 チームは初日、トップの酒田・飽海と1分37秒差の2位でゴールし、「台風の目」となった。総合3位を目標に挙げる中で第2日の粘りは欠かせなかっただけに、中村展人監督は「終盤で勝負をかけた」と32歳の起用を明かす。

 重要区間で好走した遠田は前日の9区(古口―升形)でも2位タイの好記録でたすきをつないだ。激走の疲れは残っていたというが、「(チームの)貯金をつくる思いで走った」。今大会での自身の出番を終え、「総合2位も狙える」と仲間に思いを託した。

酒田・飽海、誤算の5位

 ○…初日優勝の酒田・飽海が5位とつまずいた。阿部亮監督は、苦戦を予想していたが「想定以上に初日のリードをなくしてしまった」と悔やんだ。

 12区(新庄―舟形)は2位と好発進。伊藤徹(札幌学院大)がハイペースの展開で余力を残し、終盤のスパートで順位を上げた。しかし13区以降は大崩れこそないものの区間3位が最高。浮上のきっかけをつかめないままゴールを迎えた。

 総合ではトップの南陽・東置賜に8分13秒差の4位。14大会ぶりの優勝は厳しくなったが、阿部監督は「初日のように勝負どころを見極めて挑戦する」と、わずかな可能性に懸けるつもりだ。

長井・西置賜の四釜、驚異のペース

区間新記録をマークした長井・西置賜の14区四釜峻佑(順大)=尾花沢中継所

 ○…長井・西置賜は県内トップクラスのランナーに成長した四釜峻佑(順大)が14区(尾花沢―村山)で期待に応えた。1キロ3分を切るペースで18キロを走り抜き、たたき出した区間タイムは群を抜く53分52秒。先頭の背中が見える位置まで押し上げ、チームを流れに乗せた。

 5位でたすきを受けた時点で先頭との差は2分28秒。みるみる縮め、17秒差の3位でリレーした。日差しが照りつけ気温が上昇する中で地力を示し「自分の強みはタフさ」と控えめに誇った。

 山形中央高時代は県内トップ級の力を示すも突き抜けるまでには至らなかった。それが昨年の関東学生対校選手権のハーフマラソンで日本人最高の4位に入り、今年の箱根駅伝は順大の総合準Vに貢献した。飛躍の契機は昨年の県縦断駅伝。2区間で区間新記録をマークし「自信になった」と振り返る。

 最終日は前回大会に続き、地元・長井から川西までの22区を担う予定。4年生は「最低でも区間賞を取る」と再びの快走を約束した。

県縦断駅伝

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