南陽・東置賜、解き放たれた 県縦断駅伝・最終日

2022/4/30 11:45

 第66回県縦断駅伝競走大会(山形新聞、山形放送、山形陸上競技協会など主催)は最終日の29日、長井―山形間の8区間79.9キロでレースを行い、南陽・東置賜が4時間12分42秒で2位となり、3日間の合計タイムを16時間7分48秒として10大会連続となる総合優勝の偉業を成し遂げた。

 この日のレースはアンカー勝負をものにした山形が4時間10分50秒で制し、2大会ぶりの最終日優勝を果たした。天童・東村山が3位でゴールし、酒田・飽海が4位だった。以降は新庄・最上、寒河江・西村山、北村山、上山、米沢、鶴岡・田川、長井・西置賜となった。

 総合順位は2位に天童・東村山が入り、3位が酒田・飽海、4位が寒河江・西村山、5位が山形、6位が上山。3日間でマークした区間新記録は11だった。

 【評】南陽・東置賜は社会人を中心とした堅実な走りが光った。3日間を通じて安定感のあるレースを展開。最終日は力のある若手を並べた山形に先着を許したが、第2日でつくった総合タイムの「貯金」がものをいった。天童・東村山は爆発力のある細谷と中高生で勢いに乗って2位に入り、総合でも2位を堅持。酒田・飽海は要所を押さえた配置で4位となり、総合順位を3位に押し上げた。山形はアンカー志貴をはじめとする学生の快走が光ったものの、初日の出遅れが響いて総合では5位にとどまった。

高畠中継所でたすきを受け取る南陽・東置賜の厚浦大地(NDソフト)。区間新記録の快走でチームを勢いづけた

【いだてん】重圧「自分たちの走り」で立ち向かう

 両手を広げてゴールした南陽・東置賜の渡辺清紘(NDソフト)の元に、喜びと解放感の表情に満ちた仲間たちが集まった。最終日は2位でのフィニッシュながら、3日間の総合タイムで他を寄せ付けない強さで、前人未到の総合10連覇。周囲の期待に応え「重圧を感じていたので、やっと肩の荷が下りた」。安堵(あんど)したベテランの言葉が、仲間の気持ちを代弁していた。

 第2日までにつくった「貯金」は7分50秒。2位以下に大きく差を付ける中で、総合優勝の鍵は「堅実に自分たちの走りをすること」だった。序盤は思ったほどリードをつくれなかったが、課題の中高生区間で粘り、続く27区(高畠―南陽)で厚浦大地(NDソフト)が奮起した。向かい風をものともせず、二つ順位を上げて3位に。「プレッシャーは先輩たちほど感じていなかった。しっかり貢献したかった」と胸を張った。

 最後は頼れる実力者がたすきを受けた。初日のレースで足をつり「正直アンカーを走れる状態ではなかった」というが、勝負どころを捉えた円熟の走りで区間2位。確実にピッチを刻んで仲間の信頼に応えた。

 「連覇は意識していない」と言い続けてきた小野正晃監督。選手に負担を掛けまいとの思いからだった。渡辺は「プレッシャーで普段の練習も苦しかった」と本音を語る。下位に低迷した時期も知る35歳。喜びはひとしおだ。

 「『記録を伸ばさなければ』という思いから解放された」と渡辺。追われる立場は変わらないが、次も「挑戦者として臨む」と揺るぎない。

山形のアンカー志貴勇斗(青学大)がたすきを受けて駆け出す=上山中継所

【ハイライト】志貴、突き抜けた-山形・最終日V

 最終日の優勝の行方は、最後の29区(上山―山形)にもつれた。2チームがほぼ同時にたすきをつないだ。山形の若きアンカーに力を示す時が来た。今年の箱根駅伝優勝メンバーの志貴勇斗(青学大)は「負けられない思いでペースを刻んだ」。瞬く間に先行し、そのまま突き抜けた。

 同じ箱根路を経験した22区(長井―川西)の森谷修平(山形市役所)や23区(川西―米沢)の大沢駿(同)、成長著しい中高生が頂点への道筋をつけ、その思いに区間賞で応えた。上山中継所で天童・東村山を1秒追う形に。「最初から差を付けようと飛び出した」と志貴に迷いはなく、駆け引きは求めなかった。身長161センチの軽やかに弾むようなフォームで、名門校で身に付けたスタミナが生きた。沿道で見守る人たちが励みになったといい、優勝を決めて「やっぱり地元はいい」と笑顔を見せた。

 箱根駅伝は1区5位と好スタートを決め、2年ぶりの総合優勝に貢献した。トラックの本格シーズンに向けて調整する時期だが、3年ぶりの県縦断駅伝への出場は自ら希望した。「こういう駅伝が自分のモチベーションになっている」と理由を明かし、今後の抱負を続けた。「来年もしっかりと走れるように、大会がずっと続くように僕自身も頑張りたい」

天童・東村山の28区舩田圭吾(左、天童市役所)が山形とのデッドヒートの末、トップで上山中継所に入る

【ナイスラン】感涙、天童・東村山総合2位

 天童・東村山のアンカー鈴木祐太(日新製薬)が必死の形相でゴールに飛び込み、迎えた主将遠田将人(天童市役所)らの目から涙があふれ出す。総合6位に終わった前回大会の雪辱へ「この1年、いつも以上にレベルの高い練習を積んできた」(遠田)。チームと個人で過ごした濃密な時間は、9大会ぶりの総合2位という形で結実した。

 第2日終了時点で総合2位。しかし3位寒河江・西村山と4位酒田・飽海との差はわずか。当然、選手たちの意識は2~4位争いに向いた。終盤の28区(南陽―上山)の舩田圭吾(天童市役所)は、後ろの2チームを「引き離そうと攻めた」。社会人1年目の22歳は区間賞の走りで差を決定的なものにし、続く鈴木は両ふくらはぎをつりながらも確実にたすきを運んだ。

 今大会へ「総合3位を狙う」(鈴木)と士気高く準備してきた。主力選手の負傷欠場など不安もあったという。遠田は、この日23区(川西―米沢)で7人抜きを演じた新戦力・細谷翔馬(天童市役所)の存在、区間上位の走りを見せた中学生らの成長に触れ「他の主力の状態が万全なら優勝も見えてくる」ときっぱり。目標を上回る成績で力を示した天童・東村山。さらに上を狙うチャレンジが始まった。

酒田・飽海の22区荒生実慧(中央、東洋大)が3位でたすきをつないで勢いを生む=長井市

酒田・飽海、狂った歯車

 ○…昨年に続く総合2位を目指した酒田・飽海は3位にとどまった。2~4位争いで23区(川西―米沢)以降、天童・東村山を上回ることができなかった。阿部亮監督は「相手が強かった」と悔しさをにじませた。

 指揮官はこの日のスタートの22区(長井―川西)に実力者の荒生実慧(東洋大)を起用した。中高生区間を含む23~27区で相手に分があると分析。先にリードを奪って28区(南陽―上山)の菅原翼(遊佐町役場)につなぎ、逃げ切る狙いだった。「いい流れをつくりたかった」と荒生は起用に応えて区間3位。総合順位争いで先行した。しかし続く23区でエースの鈴木亮平(東北エプソン)が失速。歯車が狂い、照準を3位に切り替えざるを得なかった。

 それでも、今大会も3日間を通じて安定感が光った酒田・飽海。選手のジュニア期からの育成を継続し、層を厚くしてきた取り組みが結果に表れている。「地元で育った選手を軸に、常に3位以内を目指す」。阿部監督はチームづくりに対する信念と大会に対するスタンスを改めて強調した。

寒河江・西村山、攻め貫く

 ○…目標だった1988(昭和63)年以来の総合3位以内を逃した寒河江・西村山。志田学監督は「昨年と同じ4位だが、攻めたレース内容だった」と選手の健闘をねぎらった。

 スタートの22区(長井―川西)は出遅れたが、大泉真尋(神奈川大)や中高生といった若い選手が奮闘し、「信頼を置く」(志田監督)というアンカー星川裕貴(山形ミートランド)につないだ。結果は酒田・飽海に1分36秒及ばなかったが、志田監督は「多くの選手は成長著しい。今回の経験を次につなげ、3位を狙いたい」と手応えを示した。

県縦断駅伝

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