参院選・争点の実情(4)円安・物価高 のしかかる、企業への負担

2022/7/2 10:40
コーヒー豆の保管庫。ここ1年で1.3倍に値上がりしたという=山形市・東北萬国社

 BRAZIL(ブラジル)、COLOMBIA(コロンビア)―。積み上げられた麻袋にはコーヒー豆の原産地が印字されていた。「仕入れ価格はここ1年で1.3倍に上がった」。東北萬国社(山形市)のコーヒー課長の赤塚宏之さん(52)はため息をつく。

 円安が止まらない。ひいては、輸入品の価格が値上がりしていることを意味する。輸入商材を多く扱う卸売業や原材料を輸入する製造業を中心に調達コストがかさんでいる。

 同社は自社焙煎(ばいせん)コーヒーの卸売業などを営む。月4トンを焙煎し、主に飲食店や宿泊施設、レジャー施設などに販売している。輸入豆は商社を通じて購入しているが、2020年当初から円安の影響でじわじわと値上がりしていることを気に掛けていた。過去には豆の高騰で値上げしたが、今回は据え置く。同社が扱う小麦製品や肉加工品などで、メーカー側の値上げが相次ぎ、卸売価格に上乗せしている現状があるからだ。

 決して自社に余裕があるわけではない。得意先は新型コロナ禍で打撃を受けた業種が多く、「既に得意先の負担が大きい分、自社製品のコーヒーだけは値上げせずにいたい」とおもんぱかる。国には早急に実効性を伴う円安対策はもちろん、「コロナ禍で疲弊した業種の後押しもセットでお願いしたい」と語った。

 日本経済を苦しめているのは円安だけではない。より、幅広い影響を及ぼしているのはロシアのウクライナ侵攻に端を発した世界的な原油高だ。空調費、輸送費はもちろん、プラスチックなど石油を原料とする製品の価格上昇も深刻だ。

 新庄市で花卉(かき)栽培を手掛けるクリタ園芸。ハウス内には深い緑色の葉を付けたミニシクラメンの苗が整然と並ぶ。容器の多くがプラスチック製だ。花卉栽培は加温、保温するためにボイラーも使用する。

 会社には日々、資材の取引先から価格改定のファクスが届く。4月からは段ボールやプラスチック製品を中心に5~20%の値上げとなった。具体的には栽培で多く使うサイズの容器(24個入り)は1セット当たり35円から38.5円に10%アップした。年間80万鉢を生産しており、値上げ分が重くのしかかる。社長の栗田義夫さん(73)は「いくら仕入れ先を工夫しても原価が上がってはどうしようもない」と語った。

 資材担当部署では社員が真剣な表情でパソコン画面に向かっていた。売り上げの3分の2を電子機器の受託製造が占めるタカハタ電子(米沢市)。部品調達に苦心する状況が続く。特に深刻なのが「産業のコメ」と言われる半導体の不足だ。

 半導体の市場価格は高騰し、今年に入ってからは通常の100倍の値が付いたこともある。予定価格を上回る場合は発注元に意向を確認するが、1日待つと他に買われてしまうことも。商社を通したルートでも半導体メーカーの値上げ要求は本格化し、中には7月から2割上げるメーカーもある。

 ロシアによるウクライナ侵攻の長期化で半導体原材料の入手が難しくなるとの見方が浮上し、海外メーカーからも半導体を仕入れている同社にとっては円安も懸念材料だ。社長の磯野文久さん(60)は「原材料価格に関し、深刻になるのはむしろこれからでは」と危機感をあらわにする。「中小企業だけでこれを吸収するのは難しい」

 政府は企業に対し、賃上げを呼び掛けている。応えたい気持ちは当然持っている。だが、「この状況では…」と磯野社長は語る。国に期待するのは中小企業でも賃上げができるような具体的な青写真だ。「企業努力はもちろん大事だが、これだけの難局。乗り越えるには政治的な後押しがほしい」と続けた。

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