緊急連載・豪雨の傷痕(上) 交通寸断、小国が一時孤立

2022/8/9 09:14
河川の増水でのり面が崩落し、国道113号が寸断された現場=5日、飯豊町

 置賜地域の4観測地点で過去最多の1日当たり降水量を記録した豪雨は、各地に深い爪痕を残した。河川増水などで住宅の浸水被害が相次ぎ、多くの田畑が冠水。道路網は寸断され、小国町が一時孤立した。3日の発生から5日間が経過した8日現在も被害の全容は分かっていない。2020年7月豪雨の記憶が鮮明に残る中、激甚化・頻発化する現状に、減災・防災対策の加速化が叫ばれている。

 豪雨により大動脈の国道113号が山形、新潟の東西両側で寸断し、一時孤立状態となった小国町。物流が途絶えてスーパーの陳列棚からパンなどの食料品が消え、町外で人工透析を受けている町民の治療に懸念が広がった。新潟県側と高畠町をつなぐ地域高規格道路「新潟山形南部連絡道路」は全線開通に至っておらず、小国町への出入りは国道113号の1路線に依存しているのが現状だ。伊藤通芳(みつよし)小国町商工会長(72)は、現国道の安全性向上と地域高規格道路の整備を求め「もっと目を向けてほしい」と訴える。

■続く通行止め

 今回の豪雨は国、県、市町村道路への土砂流出や路面破損、冠水などを各地で引き起こした。県災害対策本部によると、8日午後3時現在、県管理23路線が被害に遭い、米沢市入田沢―福島県境間の国道121号などで全面通行止めが続く。国管理の国道113号は飯豊町と新潟県関川村で3日夜からストップ。新潟側は4日午後5時15分に解除され、飯豊側は6日午前0時に片側交互通行に切り替わった。

 2011年の東日本大震災は太平洋側の交通網を寸断し、日本海側が代替ルートを担った。その中で国道113号は復旧支援の重要路線の役割を果たした。地域高規格道路は、長井―南陽間の「梨郷道路」(7.2キロ)、小国―関川間の「小国道路」(12.7キロ)で事業が進められているが、未着手区間も存在する。1967(昭和42)年の「羽越水害」で孤立経験のある小国町にとって、主要2ルートの確立は喫緊の課題だ。

 今回の災害で、地元からは複数路線の確保を訴える声が強まっている。5日に飯豊町の被災現場を視察した吉村美栄子知事は、震災の記憶を呼び覚まし「ここは命のルートだ」と、早期の規制解消を国土交通省に要請。河川増水による洗掘でのり面が崩落した状況を聞き、河川ルートの改修を含めた復旧・復興事業の必要性に言及した。

■存続への懸念

 JR米坂線の被害も小国町の孤立化に深刻な影を落とす。米坂線は飯豊町の小白川に架かる鉄橋が崩落するなどし、全線再開の道筋は不透明だ。小国町から米沢興譲館高に通う斎藤誉生(たかき)さん(16)は、他にも多くの高校生が同線を利用しているとし「早く戻ってほしい」と話す。母親の晴香さん(46)は「代行バスが走ってくれれば」と望む。

 JR東日本は先月、利用客が少ない地方路線の収支を初めて公表、米坂線は赤字だった。収支公表後の被災で路線存続への懸念も浮上している。吉村知事は崩落した鉄橋を後藤幸平飯豊町長と一緒に視察し、現場で連携を確認。「米坂線は重要なインフラ。復旧に向けて取り組みたい」と述べた。小国町地域総合商社の山口政幸社長(69)は「利用人数だけではない、公共交通機関としての役割がある」とし、防災やまちづくりなどの観点を踏まえ、早期復旧を強く求めた。

記事・写真などの無断転載を禁じます
[PR]
おすすめニュース

県内ニュース最新一覧

[PR]