山形市の蔵王中央高原で、会社員鑓水大輔さん(54)=同市大森=が今年8月に放したチョウ「アサギマダラ」が、11月14日に沖縄本島で見つかった。移動距離は83日間で1734キロ。鑓水さんが今年マーキング(印付け)をしたチョウは複数が他県で再捕獲されており、専門家は意欲をたたえている。
鑓水さんは8月23日に蔵王温泉スキー場の中央ゲレンデでアサギマダラ94匹を捕まえ、印を付けて放した。そのうちの1匹「山ZAO8.23ds4」とマーキングされたアサギマダラが、沖縄県国頭郡本部町の八重岳で、愛好家の増沢敏弘さん(長野県)によって再捕獲された。両羽が傷んでおり、鑓水さんは「ボロボロになりながらも、頑張って飛んでいったんだな」と感慨深そうに話す。
「渡り」をするアサギマダラに夢中になって約7年といい、今年は333匹にマーキングした。「無心で虫捕り網を振っていた子ども時代と同じで、楽しくて仕方がない。再捕獲してくれた人たちとの交流も魅力的」と瞳を輝かせる。
日本蝶類科学学会理事の横倉明さん(66)=山形市久保田3丁目=によると、アサギマダラは春から夏にかけて日本列島を北上し、夏から秋にかけて南下。国内最長移動記録は、福島県―台湾で2513キロ。本県からも2020年に台湾まで2275キロ飛んだ例がある。
近年愛好家が増えたため再捕獲数も多く、今回のケースは珍しいことではないという。ただ、新型コロナウイルスの影響で遠出がしにくい中、本県から南方まで“旅”をしたチョウの話題は、周囲を和ませている。
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