恩師
「日の丸を背負うプレッシャーはあると思うが、自信を持ってプレーしてほしい」。日大山形高で指導した荒木準也監督(51)は大舞台に向けて意気込む教え子の背中を押す。
中野内野手はドラフト6位での入団から、この2年でチームの主力へと飛躍を遂げた。171センチと上背はないが走攻守でセンスが光り、荒木監督は「高校時代からそつがなく、主将としてもプレーで仲間を引っ張ってくれた」と懐かしむ。
WBCは国民が注目する舞台だからこそ「誇らしい気持ちでいっぱい。中野拓夢らしいプレーを見ることができたら」と活躍を楽しみにしている様子だった。
同級生
山形リトルシニア時代から6年間一緒にプレーした創学館高野球部部長の今貴良(こんたから)教諭(26)は「ただすごいという驚きばかり。県民に勇気を与えるようなプレーを見せてほしい」と期待した。
小学生の頃にWBCで活躍する松坂大輔選手やイチロー選手に熱狂し、野球がますます好きになったという今教諭。「同い年の中野選手もWBCに対する熱い思いは同じはず。憧れの舞台に立つ姿を早く見たい」と心を躍らせる。「大リーグで活躍する大谷翔平選手やダルビッシュ有選手ら、世界トップクラスのプレーを間近で体験できる絶好の機会。一皮も二皮もむけて帰ってきてほしい」とエールを送った。
苦労の末、夢かなえ「誇り」―両親
「WBC選ばれたよ」。中野内野手の母節子さん(54)は、無料通信アプリLINE(ライン)でメッセージを受け取った。「チャンスをつかんだと思うし、誇りに感じる」と語った。
日大山形高、東北福祉大時代からプロ入りを目指したがかなわず、社会人の三菱自動車岡崎へ。2020年のドラフト会議で阪神から6位指名を受けたのは24歳の時だった。「体が小さい分、苦労したし遠回りもした。それでも自分の道を自分で選び、着実に歩んできたことがすごい」と、わが子をたたえた。
父茂明さん(57)は世界の舞台でも持ち味の走塁と守備に期待する。「出番は少ないかもしれないが、思い切ったプレーを見せてほしい」とエールを送り、「(準決勝以降が行われる)アメリカでも応援したいな」と続けた。
年末年始に帰省した際は学生時代の同級生らと会ったり、好物のラーメンを食べたりしたという中野内野手。県内でのリフレッシュ期間を経て、夢の舞台に挑む。
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