移行日が決まったことについて、県コロナ収束総合企画課は「期日としての目標は定まった」と受け止めるが、医療体制や公費負担の方向性が具体的に示されていないことに気をもむ。政府は、5類移行後の医療費は期限を区切って公費負担を当面継続するとしているが、具体的方針は3月上旬をめどに示す見通しだ。
病床確保などを担う県としては重点医療機関や保健所、県医師会など関係機関との協議を早急に前に進めたいところだが、政府の方向性が明確でない現段階では「話し合いを進めたくても進められない状況」にある。県内の医療関係者は移行後の医療提供体制の整備が課題だとし「公費負担の在り方などは慎重に、段階的に検討すべきだ」と指摘する。
本県で県以外に唯一、保健所を有する山形市。市内のワクチン接種の進展などを踏まえ、5類移行については「経済活性化や地域振興に向けて望ましい」と受け止める。一方、感染者数の把握方法が定点調査に変更されることは明らかになったが、保健所をはじめとする業務負担の変化は現時点で見通せないという。
感染症法上の位置付けは引き下げられるものの、依然として収束の兆候は見られないため、同市は「国に対し、ワクチン接種など感染対策に関わる自治体への支援は引き続き求めていく」としている。
状況見極め、対応柔軟に―県医師会長
政府が新型コロナを5月8日に5類へ引き下げると決定したことを受け、県医師会の中目千之(なかのめ・ちゆき)会長は「一つのめどであると理解するが、日付に固執はしてほしくない。感染状況を見極めて柔軟に対応してほしい」と求めた。
中目会長は、感染症法上の位置付けが同じ5類になったとしても、新型コロナとインフルエンザは「全くの別物」と指摘する。流行期が冬季に限られるインフルエンザに対し、新型コロナは年間を通じて大きな流行の波を繰り返してきた。深刻な後遺症の問題なども明らかになっており、「従来の感染対策を継続することが大切だ」と訴える。
5類移行後に感染対策が緩み、新たな変異株による感染拡大が生じれば、医療逼迫(ひっぱく)や受診難民が生じる恐れがあるとの懸念も示す。政府に対しては「移行後に何をやめ、何を継続するのか、道筋を早く示してほしい」と注文を付けた。
特別養護老人ホーム寿康園(酒田市)の伊藤美紀施設長は「方針が決まったばかりで、施設運営にどのような変化があるのかまだ分からない」と戸惑いを見せる。濃厚接触による自宅待機の期間が短縮されれば、職員の急な勤務変更が少なくなるなどの効果は期待される。しかし、入所者を預かる立場として「法律上の位置付けが変わっても、病気の症状が変わるわけではない。高齢の入所者の感染リスクが高まらないよう、換気や手指消毒の徹底など、やることは変わらない」と語った。
飲食店など対象、認証基準改正へ
県は27日、県内の飲食店などを対象とした県新型コロナ対策認証制度に関し、2月1日に認証基準を改正すると発表した。政府の見直しに合わせた措置。レジ前に仕切りを設置する必要がなくなるほか、大皿による料理提供が可能となる。
現行の基準ではレジ前の仕切り設置や大皿料理の提供自粛を求めているが、いずれの基準も削除する。飲食店のテーブルなどへの仕切りの設置については「家族の場合のみ設置が不要」としていたが、改正後は「家族や日常的に接している少人数の知人などの同一グループは設置が不要」と緩和し、明文化する。
認証制度は感染拡大防止の基準を満たした店舗を県が認証する仕組みで、2021年4月に始まった。今月26日時点の認証件数は4162件(飲食業3697件、宿泊業465件)。
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