山辺町出身のミュージシャン・峯田和伸さん(45)によるロックバンド「銀杏BOYZ」が、18年ぶりに山形に帰ってきた。山形市のやまぎん県民ホールで4日に開かれた特別公演「山形のロック好きの集まり」。「育ててくれた街への恩返し」との思いで、「今の自分の音楽」を全身全霊で歌い、叫び、届けた。
ロックに魂をぶち抜かれ、うっ屈した思いを抱えて18歳で古里を離れた。大学時代にバンドを結成し、親を説得して夢中になった音楽の道へと進んだ峯田さんにとって、山形は特別な場所だ。「昭和の考えだけど、大きくなってから帰ってきたいという思いが昔から強かった。故郷に錦を飾るじゃないけど。簡単にいつでも帰ってこられる場所じゃない」とかみしめた。
2005年のツアー以来、気が付けば18年。本来であれば20年の同ホール開館に合わせて行う予定だったが、新型コロナウイルスの影響で2度延期し、ようやく実現した。凱旋ライブへの期待を表すように、ロビーには地元からの祝い花や峯田さんの顔を刻んだ山辺ニットが並び、県内外の観客が約2千の客席を埋めた。
久々の地元でのステージというだけでなく、この日は銀杏BOYZにとって、コロナ禍後、声出し解禁になってから初めてのライブでもあった。開演前、暗転した会場に歓声がごう音となって響いた。「そうだ、こういう感じだったって舞台袖でグッときた。それが山形で良かったなって思った」と話した。
「ステージに立ってしまえば東京も、大阪も、山形も変わらない」と気負いなく臨んだ3時間のライブは、飾ることのない今の姿を観客に突きつけた。初期の曲から近作まで、アンコールを含めて全26曲。前半はコロナをきっかけに始めたというアコースティック主体のステージ、後半は疾走するようにバンドサウンドが爆発した。「人間」「新訳 銀河鉄道の夜」「駆け抜けて性春」「東京少年」「BABY BABY」などの名曲を、感情をさらけだすように生々しく、熱く歌いきり、観客も応えるように熱狂した。
曲の合間には、西バイパスのファストフード店で友人と音楽を語り明かした高校時代を思い出し、山形の空の広さや食べ物のおいしさなどが口を突いた。この日のために「自分の原風景」という実家近くの河川敷で撮影した映像も流れた。「特に山形だから何かしようとか意識はしなかった」というが、根っこにある古里への思いを感じさせた。
「何か一つでも無我夢中に没頭できるって幸せなこと。俺の場合はそれがたまたま音楽だった」と振り返る。10代の頃の自身と、今の若者たちを重ねて思う。「山形で過ごしたから生まれてくるものって絶対ある。どの街とも違う、東京では絶対生まれない感性が。だから自分から出てくるものを大事にしてほしい」とし、「口で言うより(ライブで)いい大人がよだれダーって垂らしながらワーってやってる姿を見て、俺でも何かできそうだって思ってもらえたらいい。そういう姿を見せていきたい」。
地元の大舞台を経て、「安心した」と峯田さん。とはいえ、立ち止まることはない。「オリコンで1位とって、いつか国立競技場でライブをやりたい。もっと大きくなって、また帰ってくる。もうちょっと東京で頑張ります」と笑った。
|
|
注目! #街なかメタベース #高校野球 #異変-生態系クライシス第3部 #ゼレンスキー大統領会見詳報 #最上川200キロを歩く #モーニング野球 #モンテ #新型コロナ #U-39紙上歌会 #WINNER