全国で酒用の瓶不足が続き、蔵出しの時期を迎えた県内酒蔵がやきもきしている。新型コロナウイルス禍で日本酒の消費量減少に伴い瓶の流通量が減った上、瓶メーカーの生産停止も重なり、特に一升瓶(1.8リットル)が不足気味だ。各蔵とも今季の分は確保したが、「将来が不安」「酒を飲んで瓶の循環を後押しして」との声が上がっている。
酒蔵が使う瓶は主にメーカーが作る新瓶と、蔵や酒販店などが回収して洗浄し再利用する洗瓶がある。日本ガラスびん協会(東京)によると、コロナ禍で酒の出荷量が減り、瓶メーカーは新瓶を生産調整した。経済活動の再開で瓶の需要は高まったが、生産量は元に戻らず、需給バランスが崩れた。
さらに、石塚硝子(がらす)(愛知県)が姫路工場の生産を昨年12月末で停止し、事態は深刻化した。本県では酒消費量減に加え、高齢化や燃料価格高騰で廃業する回収業者があり、使用済み瓶の回収率が下がって洗瓶も思うように供給されていない。一升瓶は日本特有の規格で、輸入できない。
県内酒蔵は確保に四苦八苦している。県酒造組合会長を務める出羽桜酒造(天童市)の仲野益美社長は「今は何とかなっているが、綱渡りの状況」と明かす。コスト増に目をつぶり、茶や緑でなく単価の高い黒瓶を使う蔵も出てきた。供給量回復は見通せず、仲野社長は「将来が不安だ」と話す。
千代寿虎屋(寒河江市)も当面の出荷分は確保したが、大沼寿洋社長は「今後供給は先細りするかもしれない。貯蔵にも一升瓶を使うため、不足に拍車がかかっている」とする。
渡會本店(鶴岡市)の渡會俊仁社長は「一升瓶は首都圏に出荷する蔵が多く、県内の回収率が低下している」と指摘する。県外の大手酒造会社が紙パックを使うようになり、メーカーの生産停止につながったと推察し、「酒の需要が回復すれば、さらに瓶が足りなくなるのでは」と見通す。
瓶卸のITC(山形市)の井上大樹(だいじゅ)社長は、この事態を見据えて昨秋から在庫を増やし、酒蔵の要望に応えている。同社の瓶回収量はコロナ前の1割にとどまり「この状況は2、3年続くと言われており、先行きは見えない」と話す。酒蔵には需要が集中する繁忙期以外の購入を依頼している。
原材料や燃料の価格高騰を受け、瓶の価格も上がっている。各酒蔵にとっては正念場が続くが、各社長は「県民に酒を飲んでもらい、県内の流通量、回収率を上げるしかない」と口をそろえた。
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