突然強風、湖面に白波 西川のカヌー沈没・あおられ転落、艇浸水も

2023/6/5 08:00
カヌーから落水した高校生4人が搬送された現場で、湖面のカヌーを回収する大会関係者=4日午後0時24分、西川町・月山湖カヌースプリント競技場

 西川町月山沢の月山湖カヌースプリント競技場で4日、高校生計4人が救急搬送された事故で、関係者は「瞬間的にすごく強い風が吹いていた」「海のように波が立っていた」と状況を語った。穏やかだった風が突然強くなり、湖面には白波が立っていたという。

 関係者によると、事故当時はコースのゴール側からスタート側に向かって強風が吹いた。スタート位置周辺では、男子カヤックフォア決勝に出場する4艇が風が収まるのを待っていた。さらに、次の男子カナディアンフォア決勝に出場する1艇が、スタート位置奥のエリアに向かっていた。

 風による強い波でカナディアン艇があおられ、選手1人が転落した。カヤックの3艇も波で水が入って浸水し、徐々に沈んでいったという。選手たちはカヌーをつかむなどして救助を待ち、駆けつけたモーターボートに引き上げられた。

 カヌーは水上スポーツで、波などで艇への水の浸入を防ぐためのカバーが付けられていた。この日は、それでも多くの水が入ってくるほど波が激しかった。

 自身も落水したという生徒は「(カヌーでは)練習でも落水することは珍しくない」としつつ「今日は海のように強い波が立っていた」と話した。搬送された選手を「救出された後、ぬれた状態で風に当たり低体温症になったのではないか」と心配していた。

 同町などのカヌー関係者などによると、同競技場では春と秋に強い風が吹く時がある。また本部近くのゴールとスタートでは、風や湖面のコンディションが異なる時もあるという。山形新聞の取材に対し、堀米和志県高校体育連盟カヌー専門部長は「より丁寧に天候を確認して、スタートの状況を的確に判断し、今後は事故がないようにしたい」と話した。

県高体連会長「事故ない体制づくり徹底」

 県高総体を主催する県高校体育連盟の佐藤裕恒会長は4日、山形新聞の取材に「事故に遭われた選手や家族、関係者には不安な思いをさせてしまった。事故のない万全な体制づくりを徹底していく」と語った。

 全国高校総体のカヌー競技が8月に同会場で行われることを踏まえ、「地形的な特徴などを整理し、日本カヌー連盟などと連携して今後の対応を考えていきたい」と話した。

 県高校総体カヌーとしては事故後の種目を中止とした。「インターハイ(全国高校総体)の選手選考を東北大会で実施できるよう東北高校体育連盟に協力を求める」とした。

記事・写真などの無断転載を禁じます
[PR]
おすすめニュース

県内ニュース最新一覧

[PR]