流行2年目を迎えた新型コロナウイルスは、1年目を超える猛威を振るった。感染力が強い「デルタ株」が広まり、8月にはひと月の新規感染者が1000人を超えた。経済をはじめ各方面に大きな影響を及ぼした。
流行第3波に襲われた3月、山形市と寒河江市には県と共同の緊急事態宣言が発出され、飲食店に時短要請が出された。第5波はより深刻だった。8月21日には1日当たりの感染者が過去最多の69人を数えた。専用病床は逼迫(ひっぱく)し、医療提供体制は限界に近づいた。
一方、感染拡大防止の鍵となるワクチンは広まった。本県の接種率は約9割に達し、全国トップクラスとなっている。3回目接種も始まり、第6波への備えが進められている。
東京五輪・パラリンピックが史上初となる1年の延期を経て開催された。新型コロナウイルス禍による試練を乗り越えて県勢は五輪に5選手、パラリンピックに4選手が出場。メダルには届かなかったが、力の限りを尽くした。聖火リレーでは多くの県民がともしびに思いを託した。
第49回衆院選が10月19日公示、31日投開票の日程で行われた。県内3小選挙区には7人が出馬し、2014年から3回連続で自民が議席を独占した。野党側は県1、2区に統一候補を立てて戦ったが共闘は振るわず、比例東北ブロックでの復活当選も逃した。
任期満了に伴う知事選は、現職の吉村美栄子氏が新人の元県議大内理加氏を破り、4選を果たした。女性同士による一騎打ちは全国初で、12年ぶりの選挙戦となった。新型コロナ対応の継続性を訴えた吉村氏が全35市町村で支持を集め、23万票余の大差で勝利した。
今春、県内各地で凍霜害が相次いで発生した。被害は30市町村に及び、農業被害の総額は記録が残る1963(昭和38)年以降で最悪となる130億700万円に上った。特にサクランボの被害は甚大で、収穫量は平年比約3割減の9160トンまで落ち込んだ。
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県議会が3月、若松正俊氏の副知事再任案を否決、副知事不在約7カ月半の異例の事態が続いた。背景にあったのは、知事選で生じた吉村美栄子知事と県議会最大会派・自民党の対立。吉村知事が再任を断念し、平山雅之氏の新任を提案。県議会が10月に同意した。
県議の野川政文氏が事務所スタッフの人件費を架空計上し、2008~20年度の13年間で総額1248万円の政務活動費を不正受給していたことが明らかになった。辞職した野川氏は記者会見で私的流用を否定。しかし具体的な使途や領収書は示さなかった。
米軍横田基地の輸送機オスプレイ2機が6月14日夕、東根市の山形空港に緊急着陸した。米軍からは明確な理由や情報は明かされないまま、大勢の見物客が集まる事態ともなり、国や県の対応は混迷を極めた。空港内の自衛隊施設へ移動し、6日後に離陸した。
東北・北海道で初となる重粒子線がん治療装置を導入した山形大医学部東日本重粒子センターが2月、前立腺がん患者への照射治療を始めた。さまざまな部位への照射に対応する「回転ガントリー」の稼働は、調整不良で予定した8月から来年以降にずれ込んだ。
県警の不祥事が相次いだ。同僚に交通違反の見逃しを依頼した警部と、見逃した3人が書類送検され、停職や減給の懲戒処分、所属長訓戒になった。交番内で同僚の財布から現金を盗んだ巡査部長や、飲酒した後に車を運転した未成年の警察学校生も処分された。
運休・遅延対策が急務となる山形新幹線の福島県境部のトンネル新設に関し、県は調査費を初めて予算化した。債務負担行為を盛り込んだ本年度一般会計補正予算案が県議会9月定例会で可決された。JR東日本の調査結果公表から4年を経て、実現に向けて動きだした。