NIBフロントライン

平田牧場社長
新田嘉七氏
新田嘉七氏
【インタビュー】
 -現状を踏まえ、どのような人材を求めているのか。

 「有効求人倍率が高く、人手不足の時代なので新規採用はもちろん、中途採用も通年で募集している。即戦力となる人材はやはり欲しい。資質としては真摯(しんし)で明るい人。一方で、働き方には改革すべき点が多々ある。良い人材を雇用し、効率よく仕事してもらう。まずはものづくりの改善。養豚から製品に至るまで全てがものづくりだが、外食小売りもあり、良い素材をどう生かしていくかが問われている」

 -人材を育てるために取り組んでいることは。

 「経営学者ピーター・ドラッカーは『組織は社会に貢献する。そのためにはマネジメントが必要だ』などと述べている。当社でいえば金華豚など良い素材を活用し、できるだけ無添加で体に良いものを使い、お客さまにおいしいと言ってもらう。そして健康に貢献し、笑顔になってもらうことだ。▽日々情熱を持って変革に取り組む▽食肉を通じてお客さまの健康に貢献する▽社会の多くの人々から信頼を受けることができる企業になる-という誓いの言葉、そして経営理念や行動規範は毎日、各部署の朝礼で唱和する。それらが書かれたバリューカードを社員一人一人に持たせ、何かあった際の考え方の基本としてもらっている」

 -仕事上で最も影響を受けた人物は。

 「なぜ企業は利益が必要なのかを改めて考えたことがあり、ドラッカーの言葉がふに落ちた。社会に貢献しない企業は淘汰(とうた)される。だからイノベーションも生まれる。そして、社会に貢献することは仕事のやりがいにもつながる。彼が書いた本は幹部にも勧めている。仕事のポジションに応じて考えることは違うが『マネジャーは真摯にならなければならない。その他の能力はいつでも身に付く』という。仕事をして初めて、その言葉の意味に気付かされる」

 ★新田嘉七氏(にった・かしち) 成城大経済学部卒。1982(昭和57)年常務として入社。関連会社の太陽食品(現平牧工房)常務も兼任し、88年から社長。平田牧場では89年に代表取締役副社長となり、99年6月から現職。酒田市(旧平田町)出身。60歳。

 ★平田牧場 1964(昭和39)年に創業し、67年に設立された。「平田牧場三元豚」「金華豚」など、国内屈指のブランド豚肉の総合食肉メーカーで、外食も手掛けている。資本金2億円で、従業員は約800人(パートなどを含む)。本社は酒田市みずほ2の17の8。

【私と新聞】紙媒体、頭に入りやすい
 「どうしても紙媒体の方が頭に入りやすく、印も付けやすい」。そういう年代なのかもしれないがと言いつつ笑顔を見せる新田嘉七社長。アンテナを高くしなければならない経済人として人物を紹介する記事などをよく読むと言い、山形新聞は「ローカルなことを知るためには必要。特に1面に書いてあることは気になる」という。

 一方で「時代が大きく変わる中で、新聞も変化に対応しなければならないとは思う。紙媒体が必要な部分はあるし、そうではない部分もある」と指摘する。今は人にとってサステナブル(持続可能)な環境をどうつくるかという時代だとし、「それに向き合える組織が社会に貢献する。すごい産業革命が起こりそうだ。社会の在り方も変わるかもしれない」と語った。

【週刊経済ワード】春闘
 毎年春、さまざまな産業の労働者と経営側が賃金引き上げや労働条件の改善を話し合う交渉。連合などのナショナルセンターや産業別労働組合が定めた方針を受け、各企業の労組が個別に要求を決める。2月中旬ごろ経営側に要求を提出し、交渉がスタート。3月には大手の回答が集中する。賃金体系を引き上げるベースアップや一時金(賞与)の額のほか、長時間労働抑制、非正規労働者の待遇改善など幅広い課題を協議する。
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