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進和ラベル印刷社長
晋道純一氏
晋道純一氏
【インタビュー】
 -業界の現状を踏まえ、求める人材は。

 「出版不況などで印刷業界全体の市場規模は縮小傾向の中、国内ラベル市場は2017年度も緩やかな成長を継続している。食品分野が堅調だったほか、インターネット通販の普及で物流用のラベルの需要が伸びたことなどが主な理由で、18年度も増加する予想だ。ラベル業界としては関東圏の大手メーカーが主要な取引先となっており、自社でも東京に支店を置いて営業活動を展開している。大手メーカーへの販路拡大には品質、コスト、納期への高い要求に応えなければならない。難度が高いラベル印刷が求められる中、できない理由を探すのではなく、どうしたらできるか知恵を出し合い、チャレンジできる集団をつくる必要があり、失敗を恐れない人材を求めている。そして知恵は知識がなければ出せない。学ぶ姿勢も大切だ」

 -人材育成の取り組みや社員に期待することは。

 「精度の高い印刷、良いラベルを製作するためには最新鋭の機械はもちろん、印刷に関わる担当者のスキルアップが欠かせない。デザイン、製版、印刷、加工、検査という各工程に携わる社員の技術力向上につなげるため、全日本シール印刷協同組合連合会が主催するシールラベルコンテストのほか、世界ラベルコンテストに毎年欠かさず挑戦している。入賞を目指して挑む姿勢が、社内風土や社員の意識をより良い方向に変革すると考えている。これまでに各コンテストで最高賞も獲得しており、社員の自信と誇りにもつながっている」

 -自らが仕事上で最も影響を受けた人物は。

 「京セラ名誉会長の稲盛和夫氏だ。特にプラスの考え方を持つ大切さを説いた『人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力』という『人生方程式』の教えは常に頭に入れている。企業の大小に関係なく、経営者は必ずターニングポイントに立たされる。正しい判断ができるかできないかが会社の命運を分ける。だからこそ考え方を間違えないよう、自らを磨き高めなければならないと思っている」

 ★晋道純一氏(しんどう・じゅんいち) 日大山形高卒。山形市内の包装資材販売会社に勤務後、34歳で独立、創業した。「有限会社進和」から現在まで社長を務める。中山町出身。65歳。

 ★進和ラベル印刷 「有限会社進和」として1987(昭和62)年に山形市で創業。新工場完成に伴い、1994年、現在地に本社を移転し、2001年に現社名となった。企画デザインから製版・印刷・加工・検査まで内製化し、ラベル・シールを製造販売する。資本金3千万円で従業員数は58人。本社工場のほか、庄内支店・工場、東京支店を有する。本社は上山市蔵王の森10。

【私と新聞】地元企業の活躍、刺激に
 毎朝5時から40分ほど山形新聞に一通り目を通すのが日課の晋道純一社長。「何と言っても地域の経済面が一番の情報源で仕事にも役立っている」といい、特にベンチャー企業の設立や、既存の会社の新製品開発などの記事に注目する。

 地元企業が活躍する記事は自社の経営にも刺激を与えるほか、新規開拓に向けた営業活動のきっかけとしても活用している。「記事で取り上げられた企業に駄目もとでも営業をしているが、中には成果が実ることもある」という。主要取引先は関東圏の大手企業になってはいるが、会社を成長させていく上で地元の企業との取引も大切な伸びしろだと考えている。

 新聞のほかに業界紙などからも情報を得ている。インターネットのニュースについては「アナログ人間だからほとんど読まない。ネットのニュースはリアリティーを感じない」と話す。

【週刊経済ワード】海賊版サイト
 漫画や書籍、映画といったコンテンツを著作権者の了解を得ないまま無料で読めるようにしているインターネット上のサイト。著作権侵害の被害が近年深刻化し、摘発当局との間でいたちごっこの状況となっている。政府の緊急対策が名指した「漫画村」など三つのサイトは、月間の訪問者が1億人を超えるケースもあり、日本からのアクセスが大半を占めるという。
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