NIBフロントライン

置賜ツバメ石油社長
青木義洋氏
青木義洋氏
【インタビュー】
 -石油業界の現状は。

 「国内ではガソリンスタンド(GS)が約3万軒と、ピーク時に比べ半分ほどに減った。今後は2万軒ぐらいに減少する可能性があるが、まだまだ化石燃料に対する需要は高い。大手元売りが統合や社名変更を発表している中で、設備の老朽化や人手不足、あるいは後継者問題に直面する地域の業者は、再編や業務提携に本格的に取り組むべき時期が近づいているのではないかと考えている」

 -それを踏まえた自社の取り組みは。

 「GS事業ではセルフサービスとフルサービスのバランスを保ちながら、地域に密着し愛される店づくりを継続していく。東日本大震災を教訓に、GS全5店舗に非常用発電機を設置し、停電時でも給油できるようにした。また高畠町安久津に2年前、油槽所(配送センター)を設けた。地震に限ったことではないが自然災害に強い企業でなければいけない。灯油のほかプロパンガス、飲料水などの配達は特にお年寄り世帯に喜ばれている。今後は酒類や食料品などもラインアップに加え、サービスの付加価値を高めたい。不動産事業では、子育て支援住宅などの提案を通して地域のまちづくりにも貢献できればいい」

 -求める人材と育成方法は。

 「サービスに関わる仕事をする以上、お客さまとしっかり対話し、お客さまの立場になって提案できるスキルとコミュニケーション能力を備えることが重要。そのためにさまざまな講習や研修、福利厚生の機会を充実させている。社員は毎日頑張っているが、欲を言えば、失敗を恐れずに新しい企画をもっと上げてもらえるとうれしい」

 -影響を受けた人物は。

 「2人いる。1人目は父親で先代社長の録郎だ。入退院を繰り返し、私が入社して2年余りで亡くなったが『意志を貫け』と教えてもらったことが財産になっている。もう1人は、仕事で出会った県内のある経営者。『君は40代で若いんだから暴走しなさい。打つ手は無限にあるから』とアドバイスしてもらった。社長として経験が浅く、多くの迷いや悩みを抱えていた私を変えてくれた言葉だった」

 ★青木義洋氏(あおき・よしひろ) 米沢商業高、東北電子計算機専門学校(現・東北電子専門学校)卒。置賜地域で金融機関と不動産会社に勤務後、2008年に置賜ツバメ石油に入社し不動産営業所長。専務を経て11年1月、社長に就いた。高畠町出身。49歳。

 ★置賜ツバメ石油 1964(昭和39)年、現在の南陽市三間通で創業。置賜地域(南陽、米沢、高畠)でガソリンスタンド5店舗を展開し、高畠町に配送センターを構えるほか、LPガス販売、不動産事業、住宅リフォームのサポートなどを手掛ける。資本金2400万円、社員数50人。設立55周年を記念し今年10月、南陽市赤湯3175の1の本社を同市長岡2016に移転した。

【私と新聞】営業や社員教育に活用
 青木義洋社長は、自宅で朝食を取った後に20分ほど山形新聞を読む。ページをめくる順番はほぼ毎日同じで、1面のトップニュースから国際面、経済面、地域ニュース、社会面の順に目を通している。おくやみ欄のチェックも欠かさない。

 「山形の情報がふんだんに載っており満足している」と話し、イベントなど地域ニュースの記事は営業時の話題として、本欄「NIBフロントライン」は社員教育に生かすことが多い。「普段の仕事に関わりがあるので、原油を産出する中東諸国の情勢など、国際面ではもっときめ細かく記事を取り上げてほしい」と要望を付け加える。

 最近の社会面を読み、子どもの時には起こり得なかったような切ない事件、事故に心を痛めている。「事件や事故がない安全な社会に向けて、地域の一企業として何ができるかを常に考えていかなければ」と強調する。

【週刊経済ワード】ホワイト国(優遇対象国)
 軍事転用可能な物品や技術の輸出に関し、日本政府が手続きの簡略化などの優遇措置を取る貿易相手国。大量破壊兵器に関する国際条約への加盟など輸出管理制度が整い、兵器拡散の恐れがないと判断すれば指定する。現在の優遇対象国は、米国や英国、ドイツ、フランスなど欧米諸国のほか、アルゼンチンやオーストラリアなど計26カ国。韓国は8月に除外された。
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