NIBフロントライン

セルヴァン社長
東海林武氏
東海林武氏
【インタビュー】
 -健康産業やフィットネス業界、自社の現状は。

 「日本では近年、健康への関心が高まり、フィットネスクラブ参加率は4%台に達し市場は拡大している。県内も大手フランチャイズチェーンの進出や、異業種からの参入があり、ジムが急増した。その中で選んでもらうために、差別化が欠かせない。当社の強みはフィットネスクラブ、ジュニアスクール、ゴルフ練習場を備えた複合型という点だ。これからはソフト面の強みを伸ばすため、人に対する投資を厚くする。経営理念は『健幸(けんこう)の創出と無限の可能性の発見』。お客さま、スタッフに健やかな幸せをつかんでほしい」

 -人への投資とは。

 「ジムをトレーナー、コーチで選ぶ時代を見据え、従業員一人一人が研修でスキルを高め、会員制交流サイト(SNS)などで人間性を今まで以上に発信する。インストラクターの成長は、お客さまとどれだけ接したかによる。適切に助言するために知識も蓄えなければならない。従って成長にはインプット、アウトプット双方が大切になる。最近はインプット過多になっている人が多いと感じる。知識や情報を身に付けたら、それをアウトプットして役立ててほしい」

 -求める人材は。

 「アスリート精神を持っている人だ。従業員にはスポーツ経験者が多く、それが当社の強み。スポーツ経験者は礼儀を身に付けている場合が多い。スポーツは1人ではできず、選手は仲間やコーチ、家族に支えられている。周囲への感謝や思いやりの精神は社会に出ても大事で、働く上での軸になる。スクールの子どもたちにもスポーツから学んだことを伝えてほしい」

 -どのようなスキルが必要で、身に付けるためどのような努力をすべきか。

 「行動力が必要となり、行動力を身に付けるためにはチャレンジ精神が欠かせない。人は失敗を恐れるから行動できない。野球では3割打者が一流と言われるが、逆に言えば一流打者でも10回中7回は失敗する。大事なのは7回の失敗から何を学び、どう次につなげるか。仕事も同様。失敗を恐れずに行動を起こし、チャレンジしてほしい」

 -仕事上で影響を受けた人物は。

 「いろいろな人に支えられているが、その中であえて言えば両親から影響を受けた。父博が当社を興して社長に就いたのは40歳の時で、母美穂子(現会長)が専務だった。私は幼少期から働く両親の姿を見ており、その言動から学んだことは今も生きている」

 ★東海林武氏(とうかいりん・たけし) 中央大文学部卒。大手生命保険会社を経て、先代の父・故博氏に請われて2011年5月に取締役として入社。現場責任者を務め、博氏の死去に伴い、18年2月に社長に就任した。山形市出身。33歳。

 ★セルヴァン 1990年に創業し東北最大規模の総合型地域スポーツクラブを運営。フィットネスクラブ「スポーツクラブエスポート」、ゴルフ練習場「セルヴァンゴルフヒル」のほか水泳、野球、サッカー、ゴルフ、体操、剣道、ダンス、バレエの8種目のジュニアスクールがある。社名「セルヴァン」は「帆を掲げ、先頭を走る=先駆者」の意味。従業員数は約30人で各種スポーツの全国大会で活躍した元選手が多い。資本金5千万円。エスポートの所在地は山形市上山家町758の2。

【私と新聞】子ども、どんどん紙面に
 東海林武社長は幼い頃から野球の実力者として知られ、山形市鈴川小卒業後、中学から大阪に野球留学して野球を続けた。中学時は硬式野球の名門チーム・八尾フレンドに所属し、高校は大阪の強豪・上宮太子高に進学。中学時に新聞に取り上げられたことがある。

 五輪選手輩出を10年ビジョンに掲げるセルヴァン。自身の経験を振り返り、「子どもは新聞に取り上げてもらうと喜び、練習にさらに身が入る。子どもを育てるため、どんどん紙面で取り上げてほしい」と語る。

 新聞は各面に満遍なく目を通し、気になった記事は読み込む。「新型コロナウイルスの影響を受ける中、多くの企業がさまざまに創意工夫し立ち向かっている。中小企業の知恵を紙面で見ると自分を奮い立たせることができる。それがありがたい」と語った。

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