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カトーコーポレーション社長
加藤洋三氏
加藤洋三氏
【インタビュー】
 -自社や業界の現状は。

 「本社の農業関連資材販売部門は農家に出向き、肥料や農薬、資材の注文をいただき配達している。果物を中心に農産物の流通業務も手掛け、関東方面の市場に出荷している。小売店は農業資材販売の農家の店トマト4店舗、農産物直売のファーマーズマーケットトマト3店舗。農業者の減少により市場は縮小傾向だがコスト削減、省力化、高品質化、オリジナル化を追求すれば、まだ伸びしろがある。最近は包装を工夫する農家が増え包装資材の取り扱いが伸び、家庭菜園をする人が増えて種・苗木も売れている。ホームセンターでは満足できない層に来店していただいている」

 -産直の売り上げが伸びている。

 「おいしさを求めてトマトに来店する方が多く、生産者も品質を重視している。農家にファンが付くのが産直の良さ。農家の収入が増えれば、後継者もでき、将来につながる。そうすれば県産農産物の評価が高まり、農業も良い方向に進む。『また来たい』と思ってもらえる魅力ある店、人をつくることが必要。接客する声のトーン、表情も大事だ」

 -求める人材、能力は。

 「笑顔で明るいあいさつができる人、人に寄り添うことができる人だ。『農家を元気にしたい』という思いを持ち勤務してほしい。当社は農家がいるから商売ができる。農家への感謝を忘れてはいけない。感謝の気持ちを自然と表情、言葉に表せる人であってほしい」

 -必要な能力を身に付けるために何をすべきか。

 「いろいろなことに興味を持ち、いろいろな人と話し、何でもやってみることで内面の心が磨かれる。黒田三佳さん(米沢市、人材育成アカデミーローズレーン代表)から『STEPS』理論を教わった。スマイル(笑顔)、サンキュー(感謝)、エクスキューズミー(謙虚)、プリーズ(互譲)、スタディー(学ぶ)の頭文字を取った言葉で、成長に必要な要素だ。人間関係を育むコミュニケーション能力も必要。お客さま目線で考えられれば自然とスキルは身に付く」

 -影響を受けた人物は。

 「創業者で祖父の故喜代志、先代社長で現会長の父満、母のトモ子の3人だ。喜代志は腰が低くて愛想が良く、お客さまに慕われていた。豪快な一面もあり、商売の基本を学んだ。満は前に進む馬力が強く、業容を拡大した。仕入れ先や取引先をとても大切にする気持ちは私も見習っている。トモ子は祖父と父の間に入って仲を取り持ち、陰から会社を支え、常に社員のことを大事に考えてくれている」

 ★加藤洋三氏(かとう・ようぞう) 岩手大農学部卒。肥料会社の清和肥料工業(大阪市)で3年間勤務し1989年、加登屋(現カトーコーポレーション)入社。専務を経て2010年から社長。上山市出身。56歳。

 ★カトーコーポレーション 1953(昭和28)年に加登屋商店として創業。77年に加登屋として株式会社化し、92年に現社名になった。肥料や農薬、農業関連資材などを販売するほか青果など農産物の流通業務も手掛ける。95年に農業資材専門店「農家の店トマト」を開店し、現在は中山、東根、高畠、上山の4店を展開。99年には農産物直売所「ファーマーズマーケットトマト」を始め現在は中山、天童、上山の3店がある。従業員数74人。資本金4800万円。本社所在地は上山市阿弥陀地旱田705の1。

【私と新聞】県内の状況、細かく知る
 加藤洋三社長は「地元の情報を把握するために新聞は必要だ。取引先との話題づくりになる」と語る。朝礼では社員が新聞記事を取り上げ、トピックスとして話すことがある。農業関連の法律は頻繁に改正されるため、「それを知るためにも新聞は欠かせない情報収集ツールだ」と指摘する。

 山形新聞に対しては「農家が頑張る姿を多く取り上げてもらい、ありがたい」とする。7月豪雨の被害を報じた今年7月29日付の紙面は忘れられないといい、「テレビは河北町や大石田町を中心に報じていたが、紙面で被害が広範囲に及んだことを知った。衝撃的な写真だった」と語る。被災した取引先には見舞いに駆け付けた。「県内の状況を細かく知るにはやはり新聞でないといけないと実感した」と語った。

【週刊経済ワード】コロナ下の自動車産業
 2020年度上半期(4~9月)の国内新車販売台数は、新型コロナウイルス流行による需要低迷で、前年同期比22.6%減の202万台と大幅に減少した。ただ、トヨタ自動車を中心に直近で自動車各社の生産は回復傾向にある。20年9月中間連結決算は、三菱自動車が4~6月期から赤字幅を拡大させる一方、北米が好調なSUBARU(スバル)が黒字転換するなど明暗が分かれた。
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