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税理士法人AMAGUCHIパートナーズ代表社員
天口信裕氏
天口信裕氏
【インタビュー】
 -会計事務所の役割は。

 「月次試算表の作成や、税務相談、決算、税務申告を担い企業の基礎的な活動を支えている。企業は環境の変化にいち早く対応し、絶え間なく経営改革するよう迫られている。経営判断を迅速にするため自社経理が広がっており、現在の会計事務所には従来の記帳の手伝いから脱皮し、素早い意思決定に役立つ高度で専門的な支援が求められる」

 -求めている人材は。

 「常に変わり続ける環境の中、当グループは経営応援団として企業の成長、発展のため事業の最適化と再構築を支援し、経営者の自己革新と経営革新をサポートしている。従って職員は百社百様の取り組みを素直な心で受け止め、自分の能力を高めて企業の役に立つことが必要で、何事にも熱意を持って駆け上がることができる人材を求めている。人生も経営も思い通りにいかず、常に移り変わっている。型にはめるだけでは人は成長しない。自ら才能を開花させ、創造的な仕事をして活躍する人になってほしい。社会は『仁(思いやり)』の翼を付けて飛び立つ人材を求めている」

 -必要なスキルと能力は。

 「京セラ創業者の稲盛和夫氏は『成果=能力×熱意×考え方』と表現していたが、当社で考えると『能力=専門能力+対処能力+質の向上』『熱意=誠実さ+熱き心の日々の実践』『考え方=正しい前向きの考え+人類の英知の学び』と表せる。専門能力はゼロから学び、成長すれば良い。素直な心で考えを良い方向に巡らせ、自ら修養する気持ちを持つ人を応援したい」
 「経営者の自己革新と経営革新を応援できる人材になるため自助努力が欠かせず、職員には人類の英知を学ぶよう求めている。人間の意識レベルと経営に関する洞察を深めるため、世界の四大聖人(ブッダ、孔子、イエス・キリスト、ソクラテス)の教えを理解することが重要だ。中でも孔子の論語を学ぶことは価値がある。リーダーの道を説いているからだ。日々は基本的行動の実践で、気付いたら即実行だ。人間力や専門能力を高めるため、育成システムは整っている」

 -影響を受けた人物は。

 「大学時代の恩師の富岡幸雄中央大名誉教授だ。税務会計学の日本の第一人者で今も月に1度、論文指導を受けている。税務会計学のほか仕事の取り組み方も学んだ。先生は、消費増税は国を滅ぼすと考えており、製品やサービスの付加価値を上げ、国を支える直接税の比率を高めるよう説いていた。付加価値創出支援を柱に活動をするよう教えていただいた」

 ★天口信裕氏(あまぐち・のぶひろ) 山形南高、中央大商学部会計学科卒。東京、山形の税理士事務所勤務を経て、1988(昭和63)年に税理士登録。92年に天口会計事務所を開き所長。組織変更により2019年から税理士法人AMAGUCHIパートナーズ代表社員。論語に学ぶ会山形塾塾長も務める。山形市出身。67歳。

 ★税理士法人AMAGUCHIパートナーズ 天口会計事務所として1992年に開業し、19年11月に現在の名前になった。顧問契約を結ぶ企業は約240社。グループ会社に経営コンサルティングなどのアルファ・コム、社会保険・労務に特化したアルファ・ネットがあり、プログラミング教室も開く。職員数はグループ全体で31人。有資格者は税理士4人、社会保険労務士1人、行政書士1人。事務所所在地は山形市薬師町1の16の1。

【私と新聞】物事見るのに欠かせず
 新聞について、天口信裕代表社員は「世の中の出来事をマクロとミクロの両視点から取り上げており、微視的視点のみのインターネットニュースとはそこが違う」と指摘する。
 物事の変化を見るには、まず全体を捉えて流れを知り、その後に出来事を一つ一つ知る必要があるという。「新聞は物事を見るのに欠かせないツールで、購読する価値がある。職員に毎日、新聞を読むよう推奨している」と話す。
 1997年11月の「山一(証券)破綻 債務超過」というスクープ記事が記憶に残っているという。バブル経済が崩壊し、日本経済は下り坂をたどっていた頃。「企業の経営の役に立ちたいと改めて思った出来事だった」と振り返った。

【週刊経済ワード】巨大IT規制新法
 2月に施行された「特定デジタルプラットフォームの透明性および公正性の向上に関する法律」。巨大IT企業に取引条件などの開示を義務付けることを柱とし、今はアマゾンジャパン、グーグルのほか、アップルと系列の「iTunes(アイチューンズ)」の米国3陣営と、楽天グループ、ヤフーの国内2社が規制対象に指定されている。
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