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モガミ住研社長
鈴木孝幸氏
鈴木孝幸氏
【インタビュー】
 -業界と自社の現状は。

 「新型コロナウイルスの影響で対面営業が難しいが、当社はコロナ下でも引き合いがあり、大変ありがたい。ただ人口減少に伴って年々、新規客は減っている。冬期間は積雪の影響でリフォーム工事が少なくなるため、冬場の仕事を確保しようと2019年に新築住宅部門『INFINITY STYLE(インフィニティースタイル)』を立ち上げた。降雪前に基礎工事まで終わらせ、積雪期は内装工事を手掛ける。新築戸数が減った影響で大手ハウスメーカーがリフォーム分野に参入し、受注競争が激化した。ネームバリューでは大手に負けるため、当社はお客さまとの出会いを大事に、アフターフォローに力を入れ、迅速な対応を徹底している。結果的にそれがお客さまとの長い付き合いにつながっている」

 -求める人材は。

 「お客さまに気遣いできる人だ。職人には一人一人が現場責任者という意識を持ち、仕事に取り組むよう話している。また、難しい仕事でもやる前から諦めるのではなく、できる方法を考えられる人であってほしい。社員には前向きに仕事に向き合ってもらいたい」

 -どんな能力が必要か。

 「社員には多能工であることを求める。特定の仕事だけでなく幅広い分野の仕事ができれば、外注する仕事が減り利益率が上がって経営のプラスになる。当社で言えば大工仕事ばかりでなく設備工事、電気工事もできる社員が増えれば、社員も会社も仕事の幅が広がり経営がうまくいく」

 -そのためには、どのような努力が必要か。

 「本人のやる気次第だ。どの仕事も覚えたい気持ちがあれば覚えられる。それはどの職種も一緒。だから面接では応募者の本気度をみる。本当に長く続ける気があるのか、という点を重視している。学力や学歴は関係ない。机上と現場は違う。職人はある程度の経験も必要で、できるまで諦めずに続ける必要もある」

 -影響を受けた人物は。

 「父加藤友幸が宮大工で、昔から働く姿を見てきたので自然と建築業界に進んだ。高校卒業後に入社した安斎建設では安斎常克社長、亀岡民道常務に大変お世話になり、今も仕事を回してもらうことがある。どの仕事も楽しく、実にならない仕事はなかった。皆さんに助けていただき今がある。お客さまはだいたい年上で、皆さんが師匠のようなもの。さまざま指導していただいている」

 ★鈴木孝幸氏(すずき・たかゆき) 学法福島高卒。1994年に建設業の安斎建設(福島市)入社。2007年に本県に移り、運送会社での勤務を経験した後、10年にモガミ住研入社。統括本部長を経て、16年から社長。福島市出身。46歳。

 ★モガミ住研 先代の結城勝美氏が1987(昭和62)年に創業。91年に有限会社となり95年に株式会社化。リフォームを中心に手掛け、2019年に新築部門「INFINITY STYLE」を設立した。本社展示場にギャラリーや茶室も備え地域に開放している。21年、健康経営優良法人(中小規模法人部門)に認定された。従業員数7人、資本金1千万円。本社所在地は山形市桜田南12の33。

【私と新聞】地域版の充実ぶり実感
 鈴木孝幸社長は「お客さまと話をする時に、山形新聞を読んでいないと話が合わない。山形県で仕事をする上では欠かせないツールだ」と語る。山形新聞のみを購読しているといい、「県内で仕事をするには地元紙だけで十分」とする。
 顧客や取引先との会話の種を仕込むため、幅広い面を見る。特に地域版の充実ぶりを実感。「なかなか時間が取れず、隅から隅まで見ることはできないが、ざっと目を通すだけでも30~40分はかけている」。仕事柄、労災や事故のニュースも気に留めるという。
 特に好きな企画が社会総合面に掲載中の「世界遺産」だ。「歴史や古い物が好き。世界遺産は20カ所程度しか知らなかったが、企画は350回を超えた。知っているようで知らないことが多く『こんな世界遺産もあるのか』と驚きながら見ている」と話す。

【週刊経済ワード】データセンター
 インターネットのサーバーや通信機器などを集約し、運用するための建物。通信環境を維持するため24時間365日体制で監視している。災害に備えた構造で、電力供給が途絶えた時に備えて、自家発電装置なども設けている。デジタル化の進展に伴い需要の増加が見込まれており、不動産やゼネコンといった業界も注目している。
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