NIBフロントライン

サンノー企画印刷社長
小関幸一氏
小関幸一氏
【インタビュー】
 -業界、自社の現状は。

 「印刷業は人口減少など経済縮小の影響に加え、直近は新型コロナウイルスでイベントが減るなど、従来の紙への印刷の需要は減少傾向にある。業者に依頼せず、パソコンなどを使ってお金をかけずに自らつくることも多い。紙には紙の良さがあり、今後もなくならないと考えるが、顧客の課題解決を図るため、デジタルも活用しなければならない時代になったと思う。その上で紙の在り方を提示し、顧客に提案することが大切だと考えている」

 -その中での挑戦は。

 「デジタルの良さは、どのくらい効果があるのか分かるところ。例えば、QRコードの利用数やサイトごとのアクセス数などだ。詳細なデータを分析し、改善して効果を高めることもできる。デジタル活用でマーケティングのお手伝いをしながら、即効性があるとされる紙媒体との相乗効果を高めていくことが大事だ」
 「置賜地域の魅力を発信するオリジナルグッズ提案プロジェクト「MonMonMon(モンモンモン)」や、今春オープンしたラッピングペーパー専門店は、デザインを基軸にした新しい事業展開だ。商品開発には企業や学生とのコラボなど広がりも生まれている。web制作部門では、短納期、安価というニーズに応えようと、スマートフォンサイト開設の支援サービスを準備している。印刷物にQRコードを掲載し、商品や店舗などのPRサイトに誘導する。サイト制作だけでなく、抽選ゲームやクーポン券などアクセス数をアップさせる機能を付加する。印刷物とデジタルを両輪とし、上手に活用した提案をしていきたい」

 -求める人材は。

 「業務の根幹となるデザインが好きで興味のある人材が望ましい。加えて顧客はもちろん、社内や地域とのコミュニケーションを大事にしてくれる方だ。小規模な会社なので、得意分野以外の業務にも積極的に挑戦してほしい。できれば長井を好きになってもらい、長井に住んで地域と関わってくれると理想的だ」

 -仕事上で影響を受けた人物は。

 「すぐに思い浮かぶのは創業者でもある父(小関利一会長)だ。誰に対しても謙虚で、相手を思いやる姿勢は『自分以外はすべてお客さま』という父の言葉に集約されていると思う。創業時からの思いを受け継ぎながら、新しいことにもチャレンジしていきたい」

 ★小関幸一氏(こせき・こういち) 米沢工業高を経て日本プリンティングアカデミー(東京)卒業。県内の印刷会社勤務後の2005年、サンノー企画印刷に入社し営業・企画課に配属。10年に専務に就き、クロスメディア事業部を設立。16年から現職。長井市出身。39歳。

 ★サンノー企画印刷 1984(昭和59)年、長井市幸町で創業。印刷業やweb制作、商品デザインなどを手掛ける。99年、現本社・工場に移転。2018年にMonMonMon事業部を設立し、サテライトオフィス開設。21年にドローン空撮事業開始。22年にラッピングペーパー専門店開設。社員数20人。資本金1千万円。本社所在地は長井市時庭1867の3。

【私と新聞】情報収集に欠かせない
 小関社長は、SNS(交流サイト)を含めたネットから情報収集することが多く、日常的に読む新聞は山形新聞だけだという。「長井に住みながら、意外と長井のことを知らないことがある。山形新聞の置賜版などは、地元のことをよく知る記者が身近なイベントや出来事をまとめてくれている」と語る。
 気になる県内企業の動向を知るため経済面を開き、「さまざまな取引先があるから」とおくやみ欄に目を通す。仕事柄、新聞の折り込み広告のチェックも欠かさないという。「経営者として情報収集に欠かせないツールだと思う。内容の正確さ、信頼性の高さが新聞でしょう」と述べた。
 要望としては「さまざまなニュースを解説するネット動画は伝わりやすさを感じる。現在、紙面にも動画に導くQRコードが掲載されており、記事と映像の組み合わせはさらに充実させてほしい」と話していた。

【週刊経済ワード】日銀の国債買い入れ
 日銀が景気刺激のために国債を買い入れること。国債の価格が上昇して長期金利が低下し、企業や家計はお金を借りやすくなり、投資や消費が活発になる。買い入れ額を示す通常のオペ(公開市場操作)と、金利を抑え込むために利回りを固定して国債を無制限に買い入れる「指し値オペ」がある。日銀は4月の金融政策決定会合で、指し値オペを原則として毎営業日実施することを決めた。6月には指し値オペの対象を拡大し、金利抑制姿勢を一段と鮮明にした。
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