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双葉建設コンサルタント社長
海藤剛氏
海藤剛氏
【インタビュー】
 -4月に県測量設計業協会長に就任した。業界の状況をどう捉えているか。

 「2021~25年度を期間とする国の国土強靱(きょうじん)化『5カ年加速化対策』に関する事業や、最上川が氾濫した20年7月の豪雨災害の対応などが進んでおり、業界全体の環境は悪くない。技術者の発注労務単価も上昇し、働き方改革に取り組みながら、人材を増やすことがようやくできる状況になってきた」

 -防災、減災への貢献が期待されている。

 「業界として災害の激甚化への対応力向上が必要だ。測量設計会社は発災後、被害状況を測量し、復旧事業の費用を算出する『災害査定業務』を担う。災害業務は迅速性が求められ、技術者の確保と質の向上が不可欠と考える。県内の地域間、隣県との連携も強めていく。さらに、堤防やダムに頼らず、官民が一体となって進める『流域治水』が本格化している。地域に密着した地元企業にしかできないハード、ソフト両面での貢献に努めたい」

 -人材確保が重要になる。

 「喫緊の課題だ。優秀な技術者がいなければ、ICT(情報通信技術)やDX(デジタルトランスフォーメーション)への対応が遅れることになる。人材育成のため協会が主催してきた県高校サーベイコンテストは今年、30回の節目を迎えた。しかし、県内の高校で測量を学ぶ生徒は減少している。小さい頃から測量設計の重要性に触れてもらうため小中学生向けパンフレットを作製した。今後は新たなユニホームを提案するなどしていく。ドローンやAI(人工知能)などICTを駆使した情報産業の担い手として、測量技術者は『かっこいい』と思ってもらえるようにしたい。業界の社会的地位の向上が一番の目的だ」

 -求める人材は。

 「チャレンジする気概のある人が欲しい。DXの進展など時代の変化に対応するには新たな技術に関心を持ち、勉強することが重要。指示通りやるのではなく、ベストの手法は何かを決められる人材だ。『はかる(測る・量る・計る)』という仕事はなくならないと思うが、経営力を強化し、人材を確保して育てないと企業に先はない」

 -影響を受けた人物は。

 「創業者である父だ。病気で亡くなり、間もなく3年になる。自分の利益ではなく、いつも業界全体の振興を考えていた。そうありたい」

 ★海藤剛氏(かいとう・たけし) 新庄北高から岩手大に進み、大学院工学研究科土木工学専攻修士課程を修了。建設コンサルタント大手・日本工営(東京)に6年勤務後、双葉建設コンサルタントに入社した。専務を経て2010年3月に社長に就任。新庄市在住。55歳。

 ★双葉建設コンサルタント 1967(昭和42)年に双葉測量設計事務所として設立。有限会社を経て84年に株式会社化した。建設コンサルタントを主力に地質調査、道路工事や開発計画に伴う補償コンサルタント、測量、設計を手掛ける。資本金1千万円。従業員は51人。山形市に支店、東根市に営業所を置く。本社所在地は新庄市金沢字谷地田1399の11。

【私と新聞】気になる経済面、広告
 海藤社長は新庄青年会議所理事長や新庄北高PTA会長を務めるなど地域づくり、教育振興に積極的に関わってきた。山形新聞の紙面で、他の地域の青年会議所役員など当時関わりがあった人が紙面に登場すると、刺激になるという。「仕事のモチベーションが上がる」と話す。
 中学3年時、3カ月ほど山新の配達アルバイトをした。野球部に所属しており、新しいグローブが欲しかったからという。自転車を使わず、走って新庄市中心部に朝刊を届けた。それだけに山新への愛着が強い。
 紙面の中で経済面が一番気になるというが、各面の広告も必ず目を通す。特に不動産関係にも注目する。住宅や宅地がどの地域でどんな価格で販売されるかを知ることで、その市町村の元気度や人気度が見えてくるからだという。「仕事の面でも大いに参考になる」と語る。

【週刊経済ワード】西九州新幹線
 武雄温泉(佐賀県武雄市)-長崎(長崎市)の約66キロで、9月23日に開業する。途中の停車駅は佐賀県の嬉野温泉、長崎県の新大村と諫早。武雄温泉以東の区間は、佐賀県と国が整備方式を巡って意見が対立しており、着工の見通しが立っていない。乗り継ぎが便利な在来線特急「リレーかもめ」を利用すれば、博多-長崎の最速の所要時間は現行より30分短い1時間20分となる。
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